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【元寇後の幕府政治と農村の変容】 受験日本史まとめ 25 |
著作名:
Cogito
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元寇後の鎌倉幕府
元寇は二度にわたって起こったため、鎌倉幕府は再度の襲撃に備え異国警固番役を引き続き御家人に課し、沿岸警備を行わせました。また、鎮西奉行に代わり鎮西探題を博多に置き、北条一門をこれに任命しました。鎮西探題は六波羅探題に準ずる役職で、九州の御家人の統括と訴訟を担当しました。これに伴い、九州の政治の中心が太宰府から博多に移りました。
鎌倉幕府内部では、北条氏の権力が一層高まり、北条時頼の執権時には、評定衆の合議にはからず、自らの私邸で秘密会議を行い、重要事項が決められることもありました。子の北条時宗の時代にはこの傾向がより一層強まり、元寇に対しても評定衆や有力御家人に相談せず、北条一門や近臣の意見をもとに独断で決めていました。
こうした中、北条氏の本家である得宗を中心とした専制体制が現れ始めました。鎌倉幕府の要職の多くは北条一門が任命され、諸国の守護職の有力御家人も様々な口実で任を解かれ、代わりに北条氏の御家人が任命されました。元寇の際には、九州・山陰・山陽地方にかけて、防衛力強化を理由とした守護交替が頻繁に行われました。北条氏は鎌倉幕府滅亡時までに30カ国の守護職を手中にし、北条氏の家臣の地位も向上し、得宗の家臣は御内人と呼ばれ、幕府政治に関与するようになっていきます。
北条時宗の執権時、鎌倉幕府には安達泰盛(1231~85)と平頼綱(?~1293)がいました。この両者は権力争いを続け抗争を繰り返し、調停役の北条時宗が1284年(弘安7年)に33歳で亡くなると、御内人首座(内管領)の平頼綱は翌年に安達泰盛の一族を滅ぼしました。この事件を霜月騒動といいます。
北条時宗の死後、子の北条貞時(1271~1311)が執権につくと、北条得宗家に権力を集中させ、御家人の代表者が政治に参加する機会はますます減り、北条家得宗と得宗を支える一門・御内人による得宗専制政治が確立しました。
先の元寇は防衛戦であったため、鎌倉幕府は新たな領地や金銭を獲得したわけではありませんでした。そのため、新たな恩賞を御家人に与えることもできず、奉公に対する恩賞という封建社会の原則が守られなかったのです。こうして、戦闘参加や異国警固番役、西国への移住など、多大な負担を強いられた御家人たちは、経済的に困窮していく中で鎌倉幕府への不信感を募らせていきました。
鎌倉時代中期以降、御家人の生活は困窮し続けていきました。戦争がなくなったことにより新たな領地を得ることも少なくなり、加えて分割相続が代を重ね所領が細分化されて収入が減少していったのです。こうした状況下で、まず女性へ与える財産が削られ、相対的に女性の地位が低下していきました。兄弟の共倒れを防ぐため、一族の惣領が家督の地位と全財産を相続する単独相続が行われるようになりました。
1240年(仁治元年)、鎌倉幕府は御家人の所領を保護するため、御家人領の売却を禁じました。また1267年(文永4年)には所領の質流れを禁止し、売却した領土は代金弁償のうえで取り戻させました。しかし、貨幣経済が浸透し始め、困窮化する御家人が増える状況下において、これらの政策はあまり効果が出ませんでした。
そこで幕府は、1297年(永仁5年)に永仁の徳政令を出し、所領の売却や質入れを禁止するとともに、地頭・御家人に売却した土地で売却後20年未満のものと、非御家人・庶民に売却した土地のすべてを、無償で売り手の御家人に返却させました。この徳政令により、非御家人や庶民は莫大な損害を被ることになりました。
しかし、このような政策でも御家人の没落は止まらず、幕府は翌年に土地の売却と質入れ禁止と越訴に禁止を撤回しました。
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