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蜻蛉日記原文全集「八月になりぬ」
著作名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

八月になりぬ

八月になりぬ。この世の中はもがさおこりてののしる。廿日のほどにこのわたりにも来(き)にたり。助いふかたなく重くわづらふ。いかがはせんとて、ことたえたる人にも告ぐばかりあるに、わがここちはまいてせんかたしらず。さいひてやはとて、文(ふみ)して告げたれば、かへりごといとあららかにてあり。さてはことばにてぞいかにといはせたる。さるまじき人だにぞ来(き)とぶらふめると見る心ちぞそひて、ただならざりける。右馬頭(むまのかみ)もおもなくしばしばとひ給ふ。
          
               
                       

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