更新日時:
|
|
蜻蛉日記原文全集「かうやうなるほどに、かのめでたき所には」 |
|
著作名:
古典愛好家
8,001 views |
かうやうなるほどに、かのめでたき所には、子うみてしよりすさまじげに成りにたべかめれば、人にくかりし心思ひしやうは、命はあらせてわが思ふやうにおしかへしものを思はせばや、と思ひしを、さやうになりもていく。はてはうみののしりし子さへ死ぬるものか。孫王の、ひがみたりし親王(みこ)のおとし胤(だね)なり。いふかひなくわろきことかぎりなし。ただこの心しらぬ人の、もてさわぎつるにかかりてありつるを、にはかにかくなりぬれば、いかなる心地かはしけむ。わが思ふにはいますこしうちまさりて嘆くらんと思ふに、いまぞ胸はあきたる。いまぞ例のところにうちはらひてなど聞く。されどここには例のほどにぞ通ふめれば、ともすれば心づきなうのみ思ふほどに、ここなる人、片言(かたこと)などするほどになりてぞある。出づとてはかならず
「いま来(こ)んよ」
といふも聞きもたりて、まねびありく。
このテキストを評価してください。
役に立った
|
う~ん・・・
|
※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。 |
|
蜻蛉日記原文全集「また十月ばかりに」
>
蜻蛉日記原文全集「かくて又、心のとくる世なくなげかるるに」
>
枕草子 原文全集「きよしとみる物/いやしげなる物」
>
蜻蛉日記原文全集「落忌のまうけありければ」
>
枕草子 原文全集「草は」
>
更級日記 原文全集「子しのびの森」
>
蜻蛉日記原文全集「さてついたち三日のほどに」
>
最近見たテキスト
蜻蛉日記原文全集「かうやうなるほどに、かのめでたき所には」
10分前以内
|
>
|