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蜻蛉日記原文全集「かくありきつつ絶えずはくれども」
著作名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

かくありきつつ絶えずはくれども

子どもあまたありと聞くところも、むげに絶えぬときく。あはれ、ましていかばかりと思ひてとぶらふ。九月ばかりのことなりけり。

「あはれ」


など、しげく書きて、

ふく風につけてもとはむささがにの かよひしみちはそらにたゆとも

かへりごとに、こまやかに

いろかはるこころとみればつけてとふ かぜゆゆしくもおもほゆるかな

とぞある。

かくて、つねにしもえはなれはてで、ときどき見えて、冬にもなりぬ。ふしおきは、ただをさなき人をもてあそびて

「いかにして網代の氷魚(ひを)にこと問はむ」


とぞ、心にもあらでうちいはるる。




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