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蜻蛉日記原文全集「貞觀殿の御方はおととし尚侍になりたまひにき」 |
著作名:
古典愛好家
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蜻蛉日記
貞觀殿の御方は、おととし尚侍になりたまひにき
貞觀殿の御方は、おととし尚侍(ないしのかみ)になりたまひにき。あやしく、かかる世をも問ひたまはぬは、このさるまじき御中のたがひにたれば、ここをもけうとくおぼすにやあらん、かくことのほかなるをもしり給はでとおもひて、御文たてまつるついでに、
ささがにのいまはとかぎるすぢにても かくてはしばしたえじとぞ思ふ
ときこえたり。返りごと、なにくれといとあはれにおほくのたまひて、
たえきともきくぞかなしきとし月を いかにかきこしくもならなくに
これをみるにも、見聞きたまひしかばなど思ふに、いみじく心ちまさりてながめ暮らすほどに、文あり。
「文物すれど、返りごともなくはしたなげにのみあめれば、つつましくてなん。今日もと思へども」
などぞあめる。これかれそそのかせば、返りごと書くほどに、日暮れぬ。まだ行きもつかじかしと思ふほどに、みえたる。人々
「なほあるやうあらん、つれなくてけしきを見よ」
などいへば、思ひかへしてのみあり。
「つつしむことのみあればこそあれ、さらに来じとなん我は思はぬ。人のけしきばみくせぐせしきをなん、あやしと思ふ」
など、うらなくけしきもなければ、けうとくおぼゆ。
つとめては、
「ものすべきことのあればなむ、今、あすあさてのほどにも」
などあるに、まこととは思はねど、思ひなほるにやあらんと思ふべし。もし、はたこのたびばかりにやあらんと心みるに、やうやうまた日かず過ぎゆく。さればよと思ふに、ありしよりもけにものぞかなしき。
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