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教皇権の衰退と封建社会の崩壊(アナーニ事件、大シスマ、封建制の危機など) 受験対策問題 47 |
著作名:
レキシントン
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教皇権の衰退と封建社会の崩壊で押さえておきたいポイント
※赤字部分が問題に出そうな部分です。赤色の暗記シートなどで隠して見てください。
ローマ教会の腐敗と異端キリスト教
・中世後期になると、ローマ教会の腐敗が進み、それを批判する宗派が各地に成立した。南フランスや北イタリアで広まったワルド派、マニ教の影響を受け、バルカン半島や南フランスに広まったアルビジョワ(カタリ)派などである。
・1215年、インノケンティウス3世が第4回ラテラン会議を招集し、第4回十字軍の派遣や、異端審問の推進が決まり、密告制や拷問が各地で行われるようになった。また、インノケンティウス3世は、異端撲滅のためのアルビジョワ十字軍を提唱し、フランス王が中心となり討伐が行われ、アルビジョワ派は衰退した。
王権の伸長と教皇権の没落
・13世紀の教皇ボニファティウス8世(在位1294〜1303)は、聖職者に対する課税問題で、王権に対しカトリック教会の優越と教皇権の絶対性を主張し、フランス王フィリップ4世(在位1285〜1314)と対立した。
・フィリップ4世は聖職者に対する課税を企て、1302年に初の三部会を招集、1303年にはボニファティウス8世をローマ近郊のアナーニで捕囚し、憤死させた。これをアナーニ事件といい、教皇権没落のきっかけとなった。
・アナーニ事件後、王権の伸長にともない、フィリップ4世は1309年にボルドー出身の教皇クレメンス5世(在位1305〜1314)を南フランスのアヴィニョンに移転させ教皇庁を設置した。これを「教皇のバビロン捕囚(アヴィニョン捕囚)」といい、以後7代69年間にわたり、ローマ教皇がフランス王の監視下に置かれることとなった。
・1378年には、グレゴリウス11世により教皇庁がローマへと戻されたが、その後イタリア人のウルバヌス6世が選出されると、フランスは対立教皇クレメンス7世をたて、再度アヴィニョンに教皇庁を設置した。フランス・イベリア諸国・ナポリ・スコットランドはアヴィニョン教皇庁支持、イタリア諸国・ドイツ諸侯・イングランドはローマ教皇庁支持となり、教会大分裂(大シスマ)が決定的となった。教会大分裂は1378年から1417年まで続き、コンスタンツ公会議で再統一されたが、教皇の権威は失墜した。
・こうした状況下で教会の世俗化や腐敗は進み、各地でカトリックの改革運動がおこった。14世後半、イギリスオクスフォード大学の神学教授ウィクリフは、教皇権を否定し、教会が世俗的な富を持つことを批判した。ウィクリフの主張に共感したプラハ大学の神学教授フスは、ローマ教皇による免罪符販売を批判した。
・ドイツ皇帝ジギスムントにより開かれたコンスタンツ公会議(1414〜1418)は、教会分裂を終わらせる会議となったが、同時にフスの焚刑を決定した。フス派の人々はこの処刑に怒り、ジギスムントがその後ベーメン王を兼任すると、フス派のプラハ市民が立ち上がり、フス戦争(1419〜1436)がおこった。
封建社会の崩壊
・12世紀以降、農業生産の増大による余剰生産物が増え、商業や都市の発達や十字軍に伴い発展した遠隔地商業などにより、貨幣経済が普及していった。
・貨幣経済の普及により、貢納や賦役に依存していた荘園領主も経営方法を変える必要に迫られ、従来の賦役を生産物地代や貨幣地代に切り替えた。こうして古典荘園から純粋荘園への変化が起こり、貨幣を蓄えた農奴の中には、領主裁判権・死亡税・結婚税など、隷属的身分から自由になるものも増えてきた。
・この農奴解放は、14〜15世紀になるとさらに促進された。百年戦争・バラ戦争・ペストの大流行などにより人口が激減したため、領主は農業労働力不足に直面し、農民の土地保有権の強化や保有地の売買・貸借を認めるなど、地位の改善を図った。これを封建制の危機といい、これ以降領主は地主化し、農奴もわずかな地代を納めれば身分的に自由な独立自営農民(ヨーマン)となっていった。イギリスでは平民であるが豊かな地主層のジェントリという階級が現れ、貴族とともに王権の伸長を支えた。
・貨幣経済の普及に伴う変化に対し、貧窮した領主は、農民への支配と搾取を再強化する封建反動をおこなった。封建反動に対し農民たちは1358年指導者ギヨーム=カールに率いられた北フランスのジャックリーの乱、1381年指導者ジョン=ボールの思想に共鳴したイギリスのワット=タイラーの乱など農民一揆を起こし、対抗した。
・農民が身分上の自由を獲得するにつれ、荘園制は崩壊し、領主や騎士の政治・経済的基盤が崩れていった。中世ヨーロッパの戦闘で活躍した騎士階級は、14〜15世紀に火砲(大砲・小銃)が発明されると、農兵からなる歩兵戦が主戦となり、存在意義を失っていった。また、一部の騎士は国王の宮廷で働く廷臣(官僚)となっていったが、自立性を失った。戦争では金銭で雇用される傭兵も投入されるようになり、戦術の変化が騎士階級の没落を促進させた。
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