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枕草子 原文全集「見ぐるしきもの」 |
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著作名:
古典愛好家
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見ぐるしきもの
見ぐるしきもの。衣のせぬい、肩よせて着たる。また、のけ頸したる。
例ならぬ人の前に、子おひて出できたるもの。
法師、陰陽師の、紙冠して祓(はら)へしたる。
色くろうにくげなる女の、鬘(かづら)したると、鬚がちにかじけやせやせなる男、夏、昼寝したるこそ、いと見ぐるしけれ。
なにの見るかひにて、さて臥いたるならむ。
夜などは、かたちも見えず、また、みなおしなべて、さることとなりければ、我はにくげなりとて、起きゐるべきにもあらずかし。
さて、つとめてはとく起きぬる、いとめやすしかし。
夏、昼寝して起きたるは、よき人こそ、いますこしをかしかなれ、ゑせかたちは、つやめき、寝腫れて、ようせずは頬ゆがみもしぬべし。
かたみにうち見かはしたらむほどの、生けるかひなさや。
やせ色くろき人の、生絹の単衣きたる、いと見ぐるしかし。
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