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『あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る』 わかりやすい現代語訳と品詞分解
著作名: 走るメロス
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はじめに

このテキストでは、万葉集に収録されている歌「あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」の現代語訳・口語訳と解説、そしてその品詞分解をしています。



※万葉集は、奈良時代末期に成立したとみられる日本に現存する最古の和歌集です。天皇や貴族、役人や農民など様々な身分の人々が詠んだ4500以上の歌が収録されています。
原文

(※1)あかねさす紫野行き(※2)標野行き (※3)野守は見ずや(※4)君(※5)袖振る

ひらがなでの読み方

あかねさす むらさきのゆき しめのゆき のもりはみずや きみがそでふる

現代語訳

紫草の生えた野を行き、標野を行きながら(標野の)見張りが見やしないか、いや、見てしまうでしょう。あなたが(あっちへ行きこっちへ行きながら私に)袖を振るのを。



解説

この歌の前書きには、「大海人皇子が蒲生野で狩りをしたときに、額田王が詠んだ歌」と記されています。額田王(ぬかたのおおきみ)は飛鳥時代の歌人です。大海人皇子(のちの天武天皇)と結婚をして子どもをもうけていましたが、この歌を詠んだときには、大海人皇子とは別れて、天智天皇(大化の改新で有名な中大兄皇子。大海人皇子のお兄さん)と恋人関係にありました。

宴会の席で額田王は、大海人皇子との昔の関係をネタにして1句詠んだのです。

今は天智天皇と付き合っているけれど、大海人皇子は、実はまだ私に気があって、彼は袖を振って好きだと伝えてくるわ。そんなあちこちで袖を振っていたら、見張りの人がこれをみて、秘めた恋がばれてしまうじゃないの。




もちろん、大海人皇子に対するいじわるではなくて、ただのネタです。その場にいた大海人皇子は、この句を聞いて、歌を返します。それが

紫草のにほへる妹を憎くあらば人妻ゆゑに我恋ひめやも

という句です。

単語

(※1)あかねさす紫にかかる枕詞
(※2)標野(しめの)一般人の立ち入りが禁じられた御料地
(※3)野守御料地の警備担当の人
(※4)君女性が男性を呼うときに使った代名詞
(※5)袖振る愛情を示したり、悲しみを表すときにするしぐさ


品詞分解

※名詞は省略しています。



あかねさす枕詞
紫野
行きカ行四段活用「ゆく」の連用形
標野
行きカ行四段活用「ゆく」の連用形
野守
係助詞
マ行上一段活用「みる」の未然形
打消助動詞「ず」のの終止形
反語の係助詞(※疑問の終助詞とする説もある)
格助詞
振るラ行四段活用「ふる」の連体形


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