パプアニューギニア独立国
パプアニューギニア独立国(以下「パプアニューギニア」、英語ではIndependent State of Papua New Guinea)は、南太平洋の南西に位置する島嶼国家です。首都はポートモレスビーです。
このテキストでは、パプアニューギニアの特徴を「国土」、「人口と人種」、「言語」、「主な産業」、「主な観光地」、「文化」、「スポーツ」、「日本との関係」の8つのカテゴリに分けて詳しく見ていき、同国の魅力や国際的な影響力について考えていきます。
1. 国土
パプアニューギニア独立国は、太平洋の南西に位置し、ニューギニア島の東半分と、ビスマルク諸島、ソロモン諸島の一部など、約600の島々から構成されています。国土面積は約462,840平方キロメートルであり、日本の国土面積をわずかに上回る規模です。
ニューギニア島の中央には、標高4,000メートルを超える山々が連なる険しい山脈が横断しており、この山脈が国の地形を特徴づけています。最高峰はウィルヘルム山で、標高は4,509メートルです。この山岳地帯は熱帯雨林に覆われ、多くの未踏地域が存在しています。海岸線は全長5,152キロメートルに及び、サンゴ礁やマングローブ林が広がっています。首都はポートモレスビーで、ニューギニア島の南東部に位置しています。
2. 人口と人種
パプアニューギニアの人口は、2023年時点で約1,030万人です。この人口は主に農村部に居住しており、首都ポートモレスビーや他の主要都市への人口集中は限定的です。
人口増加率は比較的高く、今後も増加傾向が続くと見られています。人種構成は非常に複雑で、メラネシア人が人口の大多数を占めています。
メラネシア人は、パプアニューギニア本土および周辺の島々に広く分布しています。また、パプア系の人々も重要な構成要素です。このほか、ミクロネシア系やポリネシア系の人々も居住しています。
3. 言語
パプアニューギニアは、世界で最も言語の多様性が高い国の一つとして知られています。約850以上の異なる言語が使用されており、これは世界の言語の約1割に相当します。これらの言語の多くは、特定の村や地域でのみ話される少数言語です。公用語は英語、トク・ピシン語、ヒリ・モツ語の3つです。トク・ピシン語は、英語をベースとしたクレオール言語で、異なる言語を話す人々同士の共通語として広く使われています。ヒリ・モツ語は、パプア系の言語を基盤としたピジン言語で、主に南部の沿岸地域で使用されています。政府の公的な場では英語が使われることが多いです。
4. 主な産業
パプアニューギニアの経済は、天然資源に大きく依存しています。主要な産業は農業、鉱業、林業、漁業です。
■農業
人口の大多数が従事しており、自給自足農業が中心です。主な換金作物は、ココヤシ、コーヒー、ココア、パーム油などです。特にコーヒーは、高地で栽培されるものが高品質として知られています。
■鉱業
金、銅、石油、天然ガスなどの豊富な鉱物資源に恵まれています。国内経済において最も重要な部門であり、GDPの大部分を占めています。主要な鉱山プロジェクトは、オーク・テディ鉱山(銅・金)、ライアンコ金山、ポルゲラ金山などです。
■林業
豊かな森林資源を背景に、木材の輸出が行われています。しかし、違法伐採や環境への影響が課題となっています。
■漁業
広大な排他的経済水域(EEZ)を有し、マグロなどの水産資源が豊富です。漁業分野での海外からの投資も増加傾向にあります。
5. 主な観光地
パプアニューギニアは、手つかずの自然と独自の文化が観光資源となっています。
■ポートモレスビー
首都であり、国立博物館や国会議事堂、植物園などがあります。周辺のココロ島は、シュノーケリングやダイビングに適した場所です。
■ラバウル
イーストニューブリテン州にある都市で、活火山タブルブル山の噴火による被害から復興を遂げました。火山や太平洋戦争の史跡が多く残っています。
■ゴロカ
イースタンハイランド州の中心都市で、毎年9月に開催されるゴロカ・ショーは、多くの部族が集まる大規模な文化イベントです。
■セピック川
国内最長の川で、その流域には独特の文化を持つ部族が多数居住しています。カヌーでの川下りツアーが人気です。
■ダイビング
ビスマルク諸島やニューブリテン島周辺は、サンゴ礁が発達しており、多種多様な海洋生物が生息しています。第二次世界大戦中に沈没した多くの軍艦がダイビングスポットとして人気があります。
6. 文化
パプアニューギニアの文化は、多種多様な部族と彼らが持つ伝統に基づいています。多くの部族が独自の言語、儀式、祭り、芸術、伝統的な生活様式を維持しています。
■シンシン
部族が伝統的な衣装を身につけ、歌や踊りを披露する祭りのことを指します。ゴロカ・ショーやマウントハーゲン・ショーなどの大規模なイベントで見ることができます。
■芸術
木彫りや土器、カヌーの装飾など、各部族に伝わる独自の芸術様式があります。特にセピック川流域の木彫り作品は国際的に知られています。
■食文化
伝統的な食生活は、サツマイモ、タロイモ、ヤムイモなどの根菜類が中心です。沿岸部では魚介類やココナッツがよく使われます。ムームーと呼ばれる伝統的な調理法は、熱した石を使い、バナナの葉で包んだ食材を蒸し焼きにするものです。
7. スポーツ
パプアニューギニアで最も人気のあるスポーツは、ラグビーリーグです。国内にはプロリーグが存在し、ナショナルチームの「クムルス」は国民的な英雄とされています。サッカーも広く普及しており、特に若年層に人気があります。また、クリケットやバレーボールも楽しまれています。パプアニューギニアは、オリンピックやコモンウェルスゲームズにも積極的に参加しています。
8. 日本との関係
日本とパプアニューギニアは、外交関係を維持しており、経済協力や文化交流など、多岐にわたる関係を築いています。
■歴史
第二次世界大戦中、ニューギニア島は激戦地となりました。特に、ガダルカナル島の戦いやニューギニアの戦いでは、多くの人が犠牲になりました。現在でも、戦没者の慰霊や遺骨収集活動が続けられています。
■経済協力
日本は、パプアニューギニアに対し、インフラ整備や教育、保健分野での開発援助を行っています。円借款や無償資金協力などを通じ、経済発展を支援しています。
■貿易
パプアニューギニアから日本へは、液化天然ガス(LNG)、木材、水産物などが輸出されています。一方、日本からは自動車、機械類、電気製品などが輸出されています。
■文化交流
青年海外協力隊員の派遣や文化使節団の訪問などを通じ、相互理解を深めるための活動が行われています。