コイネーとは
コイネーは、紀元前4世紀から紀元後6世紀にかけて広く用いられたギリシャ語の一種です。この言語は、アレクサンドロス大王の征服によってギリシャ語が広がった結果として発展し、ヘレニズム時代、ローマ帝国、初期ビザンチン帝国において共通語(リンガ・フランカ)としての役割を果たしました。
コイネーの起源と発展
コイネーは主にアッティカ方言とイオニア方言を基にしており、他のギリシャ語の方言との統合を通じてさまざまな要素が取り入れられました。この言語は、文学的な表現から日常的な会話まで、幅広いスタイルを持っていました。
コイネーの使用地域と影響
コイネーは、地中海地域や中東の広範囲にわたって使用されました。特に、南バルカン、エーゲ海諸島、イオニア諸島、小アジア、南イタリア、シチリア、ビザンチン・クリミア、レバント、エジプト、ヌビアなど、ギリシャ語が広く話されていた地域で重要な役割を果たしました。
コイネーの文学と宗教
コイネーは、ポリュビオスやエピクテトスなどの歴史家や哲学者の作品、旧約聖書のギリシャ語訳であるセプトゥアギンタ、新約聖書、初期キリスト教神学の文献など、多くの文学作品で使用されました。また、ローマ皇帝マルクス・アウレリウスも彼の私的な思索をこの言語で残しています。
コイネーの現代への影響
コイネーは中世ギリシャ語へと進化し、最終的には現代ギリシャ語に繋がりました。現在でも、ギリシャ正教会や一部のギリシャカトリック教会の典礼で使用されています。
コイネーの特徴
コイネーには古典ギリシャ語からの逸脱が見られ、1世紀には純粋主義運動(アッティシズム)が起こりましたが、これは主に書き言葉に古風な傾向をもたらしただけで、日常会話にはほとんど影響を与えませんでした。