イオン
希ガス以外の原子には、
一番近い希ガスに近づこうとする性質があります。
ちなみに希ガスとは、
He(ヘリウム)、
Ne(ネオン)、
Ar(アルゴン)、
Kr(クリプトン)、
Xe(キセノン)、
Rn(ラドン)のことを指します。
これらの希ガスは、
最外殻電子が8個(ヘリウムの場合は2個)と
非常に電子の配置が安定しています。逆を言えば、希ガス以外の原子は非常に不安定なバランスにあるわけです。そのために
安定を求めて、安定している希ガスの状態に近づこうとする性質があるのです。
例えばNa(ナトリウム)原子は、1個の価電子を失い、Ne(ネオン)と同じ電子配置をとります。この状態のことを「
」 と記し、
プラスの電荷を持った陽イオンであると言います。
一方でCl(塩素)原子は、1個の価電子を外部から得て、Ar(アルゴン)と同じ電子配置をとります。この状態のことを「
」と記し、
マイナスの電荷を持った陰イオンであると言います。
しかしなぜ、価電子を失ったものが陽イオン、価電子を得たものが陰イオンと言うのでしょうか?
よくよく考えてみてください。
そもそも、電子とは「
-の電気を帯びたもの」でしたよね。(陽子がプラスの電気、中性子は中性)。すなわち、ここで
価電子を失うということは、マイナスの電子をひとつ失うということ、価電子を得るということはマイナスの電子をひとつ得るということなのです。
もうおわかりでしょう。マイナスの電子を失ったので、プラスに転じる。マイナスの電子を得たのでマイナスに転じるというわけです。
価電子を失ったものが陽イオン、価電子を得たものが陰イオンとややこしいので注意が必要です。
イオン式
先ほど出てきたように、イオンの状態にあることを「
」 や「
」 と記しましたが、この式のことを
イオン式と言います。
水素イオン「
」、マグネシウムイオン「
」 のように
価電子をいくつ失うか、またはいくつ得るかで元素記号の横についてくる数字が変わってきます。
ちなみに、「
」 や「
」 のように1個の原子がイオンとなった場合のものを
単原子イオン、「
」や「
」 のように原子の塊がイオンとなった場合のものを
多原子イオンと言います。