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海の民とは 世界史用語172 |
著作名:
ピアソラ
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海の民とは
海の民とは、青銅器時代の終わり頃、紀元前13世紀から紀元前12世紀にかけて、東地中海のアナトリア、シリア、パレスチナ、キプロス、エジプトなどの地域に侵入した船乗りの連合集団のことです。海の民の侵入は、ヒッタイト帝国などの古代の大国の崩壊の原因の一つとされています。海の民の出自や正体は不明で、さまざまな仮説が立てられています。
海の民という用語は、19世紀にエジプトのメディネト・ハブの壁画に描かれた敵の記録に基づいて、フランスのエジプト学者エマニュエル・ド・ルージェによって初めて使われました。その後、彼の後任のガストン・マスペロによって広められました。エジプトの記録には、海の民の名前や出身地が書かれていますが、それらは必ずしも正確ではないかもしれません。
エジプトの記録によると、海の民は次のような集団から構成されていました。
エクウェシュ:青銅器時代のギリシャ人(アカイア人、ヒッタイトの文書ではアヒヤワ人と呼ばれる)。
テレシュ:ティレニア人(テュルセノイ)、後のギリシャ人にはアナトリアの海賊や船乗りとして知られる、エトルリア人の祖先。
ルカ:西アナトリアの沿岸の民族、ヒッタイトの文書にも登場する(その名は古代リキアの地名に残る)。
シェルデン:おそらくサルデーニャ島の住民(シェルデンは、カデシュの戦いでエジプトの傭兵として戦った)。
シケレシュ:おそらくシチリア島の部族であるシキュリ人。
ペレセト:一般にはフィリステ人と同一視されるが、クレタ島から来たとも言われる。パレスチナに定住した唯一の海の民の集団。
他にも、エジプトの文書には、デニエン、ウェシェシュ、トヨル、シカラ、ダルダナなどの海の民の名前が登場しますが、それらの正体はさらに不確かです。
海の民は、エジプトと二度の戦争を行いました。最初は、第19王朝のメルエンプタハ5年(紀元前1236年から1223年の間)に、リビア人と同盟してエジプトに侵攻しましたが、エジプトの反撃によって敗れました。二度目は、第20王朝のラムセス3世5年(紀元前1198年から1166年の間)に、エジプトのデルタ地帯に上陸しましたが、エジプトの防衛によって撃退されました。
海の民は、エジプトだけでなく、他の地域にも侵入しました。彼らは、アナトリア、シリア、パレスチナ、キプロスなどの都市や国家を破壊したり、併合したりしました。彼らは、ヒッタイト帝国の滅亡やウガリットの崩壊などの青銅器時代の崩壊の一因となりました。
海の民の出自や動機は、現代の学者にとっても謎のままです。彼らは、西アナトリア、エーゲ海、地中海の島々、南ヨーロッパなどのさまざまな地域から来たと考えられています。彼らは、戦争や略奪、移住や難民、自然災害や気候変動などの理由で、東地中海に向かったのかもしれません。
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