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太陽太陰暦とは 世界史用語124 |
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著作名:
ピアソラ
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太陽太陰暦とは、太陰暦を基本としながら、太陽の動きに合わせて閏月を入れることで、暦と季節のずれを調整する暦法のことです。太陰暦は月の満ち欠けによって1か月を定めますが、1年が約354日と太陽暦の1年に比べて約11日短くなります。そのため、3年ごとに約1か月のずれが生じ、暦の上では春のはずが実際の季節はまだ真冬というようなことになりかねません。太陽太陰暦では、このずれを防ぐために、太陰暦の1年を13か月にすることがあります。本来の12か月のほかに挿入された月を閏月と呼びます。例えば、5月の次の月を閏月にする場合は、その月のことを「閏5月」と呼びます。
太陽太陰暦は古代から世界各地で用いられてきました。最も古くから太陰暦を用いていたのは、メソポタミア文明を築いたシュメール人ですが、彼らが暦と季節のずれをどのように正していたのかは明らかではありません。紀元前2000年ごろのバビロニアでは、19年の間に7回閏月を入れることで、ほぼ誤差なく暦を運用できるメトン周期という原理に気づきました。この原理は、地球が太陽の周りを19回回る日数(太陽暦の19年)は、月の満ち欠けによる235か月(太陰暦の19年と7か月)の日数とほぼ等しいというものです。このメトン周期の原理は、古代中国や古代ギリシアでも知られるようになり、太陽太陰暦の基礎となりました。
古代ローマでは、ユリウス・カエサルが紀元前46年に太陽暦に切り替えました。これがユリウス暦と呼ばれるもので、1年を365日とし、4年に1回うるう年を入れることで、1年の平均日数を365.25日としました。しかし、この暦では1年の長さが実際の太陽年より約11分ほど長くなってしまい、数百年の間に暦と季節のずれが大きくなりました。そこで、1582年にグレゴリオ13世がユリウス暦を改良し、グレゴリオ暦という太陽暦を導入しました。グレゴリオ暦では、4年に1回うるう年を入れるのは同じですが、100で割り切れる年はうるう年にしないという規則を加えました。さらに、400で割り切れる年はうるう年にするという例外を設けました。これにより、1年の平均日数を365.2425日とし、太陽年により近づけました。グレゴリオ暦は現在でも世界の多くの国で使われています。
一方、中国や日本などの東アジアの地域では、太陽太陰暦がそのまま公式に使われ続けました。中国では、紀元前104年に劉歆が四分暦という太陽太陰暦を作りました。この暦では、1年を365.25日とし、1朔望月を29.53085日としました。また、二十四節気という太陽の運行による季節の区切りを導入し、閏月の挿入の基準としました。二十四節気とは、太陽の黄経が0度、15度、30度…と15度ずつ増えるときに名前を付けたもので、例えば、太陽の黄経が0度になるときを「立春」と呼びます。四分暦では、同じ節気が2回ある月を閏月としました。例えば、立春が2回ある月を「閏正月」としました。四分暦はその後も改良されていき、唐の時代には大衍暦、宋の時代には授時暦、明の時代には大明暦、清の時代には乾元暦や嘉慶暦などが作られました。これらの暦は、1年や1朔望月の長さをより正確に求めるために、小数点以下の位を増やしたり、天体の運行に影響する摂動を考慮したりしました。
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