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百人一首37『白露に風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける』現代語訳と解説
著作名: 走るメロス
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百人一首(37)文屋朝康/歌の意味と読み、現代語訳、単語、品詞分解、覚え方

白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける


このテキストでは、百人一首に収録されている歌「白露に風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける」のわかりやすい現代語訳・口語訳と解説(句切れの有無など)、歌が詠まれた背景や意味、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に、後撰和歌集にも収録されています。



百人一首とは

百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。百人一首と言われれば一般的にこの和歌集のことを指し、小倉百人一首(おぐらひゃくにんいっしゅ)とも呼ばれます。


暗記に役立つ百人一首一覧

以下のテキストでは、暗記に役立つよう、それぞれの歌に番号、詠み手、ひらがなでの読み方、そして現代語訳・口語訳を記載し、歌番号順に一覧にしています。

暗記に役立つ百人一首一覧


原文

(※1)白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめ(※2)玉ぞ散りける


ひらがなでの読み方

しらつゆに かぜのふきしく あきののは つらぬきとめぬ たまぞちりける



現代語訳

(草木に置いた)白露に風がしきりに吹くこの秋の野では、(糸で)貫き留めていない玉(白露を美しい真珠に見立てている)が散ったことですよ。


解説・鑑賞のしかた

この歌の詠み手は、平安時代前期の官人・歌人、文屋朝康(ふんや の あさやす)です。百人一首の第22句「吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風をあらしといふらむ」を詠んだ、文屋康秀(ふんやのやすひで)の息子です。

後撰和歌集の詞書には、当時の醍醐天皇が歌を集めていたので詠んだものと書いてあります。

「白露」は、草木の上で光ってみえる露、つまり水滴のことです。そこに秋の風が吹き込んで、はじけるように飛び散ってしまった。その様子を、ネックレスの糸がほどけて飛び散っていく美しい真珠に見立てているのです。


主な技法・単語・文法解説

単語

(※1)白露草木の上の白く光って見える露。
(※2)玉美しい宝石。ここでは真珠を指している。



句切れ

句切れなし。


品詞分解

※名詞は省略しています。



白露
格助詞
格助詞
吹きしくカ行四段活用「ふきしく」の連体形
格助詞
係助詞
つらぬきとめマ行下二段活用「つらぬきとむ」の未然形
打消の助動詞「ず」の連体形
係助詞(係り結び)
散りラ行四段活用「ちる」の連用形
ける詠嘆の助動詞「けり」の連体形




著者情報:走るメロスはこんな人

学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。

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