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百人一首70『さびしさに宿を立ち出でてながむればいづく(こ)も同じ秋の夕暮れ』現代語訳と解説(体言止めなど) |
著作名:
走るメロス
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百人一首(70)良暹法師/歌の意味と読み、現代語訳、単語、品詞分解、覚え方
さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば いづくも同じ 秋の夕暮れ
このテキストでは、百人一首に収録されている歌「さびしさに宿を立ち出でてながむればいづくも同じ秋の夕暮れ」のわかりやすい現代語訳・口語訳と解説(体言止め、句切れの有無など)、歌が詠まれた背景や意味、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に後拾遺和歌集にも収録されています。
なお、後拾遺和歌集では第四句が「いづこも」となっています。
百人一首とは
百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。百人一首と言われれば一般的にこの和歌集のことを指し、小倉百人一首(おぐらひゃくにんいっしゅ)とも呼ばれます。
暗記に役立つ百人一首一覧
以下のテキストでは、暗記に役立つよう、それぞれの歌に番号、詠み手、ひらがなでの読み方、そして現代語訳・口語訳を記載し、歌番号順に一覧にしています。
※暗記に役立つ百人一首一覧
原文
さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば いづくも同じ 秋の夕暮れ
ひらがなでの読み方
さびしさに やどをたちいでて ながむれば いづくもおなじ あきのゆうぐれ
現代語訳
寂しさのあまり庵の外に出て見渡してみると、どこも同じような(寂しさに覆われた)秋の夕暮れであることよ
解説・鑑賞のしかた
この歌の詠み手は、平安時代中期の僧侶良暹(りょうぜん)です。百人一首では良暹法師(りょうぜんほうし)として収録されています。
秋になると感じるもの寂しさ、この寂しさのことを「寂寥」(せきりょう)と言いますが、平安時代の歌人たちが美を感じた感情でした。以下に述べる字余りや体言止めの技法を用い、この寂寥の境地を見事に表した一句と言えるでしょう。
主な技法・単語・文法解説
■「字余り」と「体言止め」
第二句を字余りに、第五句を体言止め(文章を名詞や代名詞でやめる技法)とすることで、秋の寂しさをより強調する工夫がされています。
■句切れ
句切れなし。
品詞分解
※名詞は省略しています。
さびしさ | ー |
に | 格助詞 |
宿 | ー |
を | 格助詞 |
立ち出で | ダ行下二段活用「たちいづ」の連用形 |
て | 接続助詞 |
ながむれ | マ行下二段活用「ながむ」の已然形 |
ば | 接続助詞 |
いづく | 代名詞 |
も | 係助詞 |
同じ | シク活用の形容詞「おなじ」の連体形 |
秋 | ー |
の | 格助詞 |
夕暮れ | ー |
著者情報:走るメロスはこんな人
学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。
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