更新日時:
|
|
高校古文『さざなみや志賀の都はあれにしを昔ながらの山桜かな』わかりやすい現代語訳と品詞分解 |
|
著作名:
走るメロス
32,040 views |
このテキストでは、平家物語の中の「忠度の都落ち」や千載集などに収録されている歌「さざなみや志賀の都はあれにしを昔ながらの山桜かな」の現代語訳・口語訳と解説、そして品詞分解をしています。
(※1)さざなみや(※2)志賀の都はあれにしを昔(※3)ながらの山桜かな
さざなみやしがのみやこはあれにしをむかしながらのやまざくらかな
志賀の都は荒れてしまいましたが、長等山の山桜だけは昔ながらに美しく咲いていることですよ
平家物語によるとこの歌は、平忠度が三位俊成卿(藤原俊成)に託した巻物の中に詠まれていたものです。忠度は藤原俊成に歌を師事していました。
忠度は、勅撰和歌集に自分の歌が採用されることを夢見ていました。しかし平家の隆盛に限りが見え、忠度も都をおわれることになりました。そこで忠度は歌の師であった藤原俊成に、自身の歌を百首余り記した巻物を託すことにしたのです。「この巻物に記した歌の中で勅撰和歌集にのせるのにふさわしいものがあればぜひ採用してほしい」そう願いをこめ、巻物を託しました。
世の動乱が収まったあと、藤原俊成は千載集の編集に携わることになりました。忠度から託された巻物の中には、千載集にのせるのにふさわしい歌が多くあったのですが、忠度は天皇の咎めを受けた人間ということで、名前を出さずに「詠み人知らず」として一首だけ、この歌を採用することにしたのです。
(※1)さざなみや | 「ささなみや」とも。「滋賀に係る枕詞 |
(※2)志賀 | 現在の琵琶湖西南の地名 |
「昔ながらの〜」を意味する接続助詞「ながら」と名詞「長等山(ながらやま)」の「ながら」を掛けたもの。
※名詞は省略しています。
さざなみや | 枕詞 |
志賀 | ー |
の | 格助詞 |
都 | ー |
は | 係助詞 |
あれ | ラ行下二段活用「ある」の連用形 |
に | 完了の助動詞「ぬ」の連用形 |
し | 過去の助動詞「き」の連体形 |
を | 接続助詞 |
昔 | ー |
ながら | 掛詞(接続助詞/名詞) |
の | 格助詞 |
山桜 | ー |
かな | 詠嘆の終助詞 |
このテキストを評価してください。
役に立った
|
う~ん・・・
|
※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。 |
|
古今和歌集 『秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる』 現代語訳と解説
>
百人一首『瀬を早み岩にせかるる滝川のわれても末にあはむとぞ思ふ』現代語訳と解説(掛詞・序詞・縁語など)
>
万葉集「梅の花手折りかざして遊べども飽き足らぬ日は今日にしありけり」の現代語訳と解説
>
百人一首『有明のつれなく見えし別れより暁ばかり憂きものはなし』現代語訳と品詞分解
>
高校古文『君があたり見つつを居らむ生駒山雲な隠しそ雨は降るとも』わかりやすい現代語訳と品詞分解
>