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古文単語「よになし/世に無し」の意味・解説【連語】
著作名: 走るメロス
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よになし/世に無し

このテキストでは、古文単語「よになし/世に無し」の意味、解説とその使用例を記している。

成り立ち

名詞「よ」と格助詞「に」、そしてク活用の形容詞「なし」が一語になったもの。

連語

意味1

この世に存在しない

[出典]:鳥は 枕草子
「鳶、鳥などのうへは、見入れ聞き入れなどする人、世になしかし。」

[訳]:鳶、カラスなど(の平凡な鳥について)は、(関心を持って)見聞きなどする人は、この世に存在しないよ。


意味2

またとない、めったにない

[出典]木の花は 枕草子
「四月のつごもり、五月のついたちのころほひ、橘の葉の濃く青きに、花のいと白う咲きたるが、雨うち降りたるつとめてなどは、世になう心あるさまにをかし。」

[訳]:四月の下旬や、五月の上旬の時分、橘の葉が濃く青いときに、花がとても白く咲いているのが、雨が降った日の翌朝などは、またとなく趣あるようすで心ひかれる。

※「世になう」は「世になく」のウ音便。




意味3

世に認められていない、身分の低い、卑しい

[出典]:横笛 平家物語
「世にあらん者のむこになして、出仕なんどをも心やすうせさせんとすれば、世になき者を思ひそめて...」

[訳]:世間に認められているような者の婿にして、奉公なども安心してできるようにさせようとするのに、身分の低い者(女)を好きになり...


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