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蜻蛉日記原文全集「かくてまたあけぬれば」 |
著作名:
古典愛好家
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蜻蛉日記
かくてまたあけぬれば
かくてまたあけぬれば、天禄三年といふめり。今年も、うきもつらきもともに心ちはれておぼえなどして、大夫さうぞかせていだしたつ。おり走りてやがて拝(はい)するを見れば、いとどゆゆしうおぼえてなみだぐまし。おこなひもせばやと思ふこよひより、不浄なることあるべし。これ人忌むといふことなるを、またいかならんとてにかと、心ひとつに思ふ。今年は天下ににくき人ありとも思ひなほらじなど、しめりて思へば、いとこころやすし。
三日は帝(みかど)の御かうぶりとて、世はさはぐ。白馬(あをむま)やなどいへども、心ちすさまじうて、七日もすぎぬ。
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