|
|
|
更新日時:
|
|
![]() |
ロシア革命 2 1917年の革命の原因と社会主義政権の誕生 |
著作名:
ピアソラ
44,580 views |
第1次世界大戦と1917年のロシア革命
前回のテキストでは、1905年に起こった第1次ロシア革命について見てきました。
今回は、第1次世界大戦による混乱と、1917年の2つの革命を説明します。
1914年7月に第1次世界大戦が始まると、ロシアはタンネンベルクの戦いでドイツ軍に惨敗し、それ以降国内の状況が悪化していきます。
外国からの資本は戦争開始により引き上げられ、労働者の労働条件が悪化しました。また、軍隊も連敗が続き、兵士たちに不満が募りました。
これら労働者と兵士は、次第に革命を望むようになっていきます。
また、多くの農民も戦争に駆り出されたため、食料生産力が急激に低下し、ロシア全土で深刻な食糧不足が起こりました。
三月革命
1917年3月、首都ペトログラードで食糧危機に起因するデモが発生し、その後大規模なストライキに発展しました。
この状況はロシア全土に拡大し、各地にソヴィエトが組織されます。
こうして首都暴動の知らせを受けたロマノフ朝最後の皇帝ニコライ2世は退位し、ロシア帝国は崩壊しました。
臨時政府と二重権力状態
三月革命の結果、ロマノフ朝が崩壊し、臨時政府が発足しました。
臨時政府は、一部の社会革命党のケレンスキーという社会主義者が入りましたが、立憲民主党やメンシェヴィキを中心として組織されたため、ブルジョワジーに有利な政策を行うようになります。
第1次世界大戦では、多くの軍需産業が儲かったため、ブルジョワジーは戦いが続くことを望み、臨時政府は戦争を継続する政策をとりました。
一方、三月革命の中心となった労働者や兵士で組織するソヴィエトは、食糧難や平和を求めていました。
こうして、この頃のロシアでは、臨時政府とソヴィエトの二重権力状態が続きました。
レーニンの帰国と四月テーゼ
第1次ロシア革命後に起こった反動政治により、ボリシェヴィキの指導者レーニンは、スイスに長期間亡命していました。
しかし、3月革命と、その後の二重権力状態を知ったレーニンはすぐさま帰国し、「戦争の即時停止」と、「すべての権力をソヴィエトへ」という内容の四月テーゼを発表します。革命を成功させるために、臨時政府ではなく、ソヴィエトに権力を集中するべきだと訴えたんですね。
最初レーニン率いるボリシェヴィキは少数派で、7月の武装蜂起に失敗してしまいますが、9月に帝政の復活を目論むコルニロフ将軍の反乱が起こると、これに対処できなかった臨時政府が兵士の支持の厚いボリシェヴィキの助けうけて事件を解決したため、民衆の支持が更に高まりました。
11月革命とソヴィエト
1917年11月7日、民衆の高い支持を受けたヴォリシェヴィキの指導者レーニンは、同胞トロツキーとともに武装蜂起し、臨時政府を倒します。
臨時政府打倒後、全ロシア=ソヴィエト大会を開催し、史上初の社会主義政権が誕生しました。
(レーニンの演説)
この政権は、「平和に関する布告」と「土地に関する布告」を発し、第1次世界大戦中の全交戦国に対し、無併合・無賠償の平和を提案しました。
平和に関する布告 |
即時停戦 |
無併合・無賠償 |
民族自決 |
秘密外交の禁止 |
平和に関する布告は、即時停戦や民族自決を訴えたものでした。しかし、連合国はこれを黙殺たので、新政府は、過去にロシア帝国がイギリスやフランスと結んだ秘密外交を公表しました。サイクス=ピコ協定などが代表例で、帝国主義の本質を世界に示しました。また、帝政時代の外債(主にフランスからのもの)も返済しないことを決定します。
土地に関する布告 |
地主所有地を無償で政府が没収 |
土地の私有財産の禁止 |
土地に関する布告は、地主の土地を政府が強制的に没収することを決めたもので、この後さまざまな産業を国有化していきます。
こうして新政権は、1918年ブレスト=リトフスク条約をドイツと単独で結び、第1次世界大戦から抜けることに成功します。
このテキストを評価してください。
役に立った
|
う~ん・・・
|
※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。 |
|
ロシア革命 1 血の日曜日事件と第1次ロシア革命
>
ロシア革命 3 戦時共産主義とソ連の成立
>
パレスチナ問題の発端 〜イギリスの中東外交〜
>
第一次世界大戦はなぜ起こったのか 4 大戦のはじまりと帰結
>
第一次世界大戦はなぜ起こったのか 2 イギリスの外交政策と日露戦争
>
第一次世界大戦はなぜ起こったのか 1 ~ヴィルヘルム2世の政策と露仏同盟~
>
ロシア革命 1 血の日曜日事件と第1次ロシア革命
>
最近見たテキスト
ロシア革命 2 1917年の革命の原因と社会主義政権の誕生
10分前以内
|
>
|
デイリーランキング
注目テキスト
世界史
- 先史時代
- 先史時代
- 西アジア・地中海世界の形成
- 古代オリエント世界
- ギリシア世界
- ヘレニズム世界
- ローマ帝国
- キリスト教の成立と発展
- アジア・アメリカの古代文明
- イラン文明
- インドの古代文明
- 東南アジアの諸文明
- 中国の古典文明(殷・周の成立から秦・漢帝国)
- 古代の南北アメリカ文明
- 東アジア世界の形成と発展
- 北方民族の活動と中国の分裂(魏晋南北朝時代)
- 東アジア文化圏の形成(隋・唐帝国と諸地域)
- 東アジア諸地域の自立化(東アジア、契丹・女真、宋の興亡)
- 内陸アジア世界の形成
- 遊牧民とオアシス民の活動
- トルコ化とイスラーム化の進展
- モンゴル民族の発展
- イスラーム世界の形成と拡大
- イスラーム帝国の成立
- イスラーム世界の発展
- インド・東南アジア・アフリカのイスラーム化
- イスラーム文明の発展
- ヨーロッパ世界の形成と変動
- 西ヨーロッパ世界の成立
- 東ヨーロッパ世界の成立
- 西ヨーロッパ中世世界の変容
- 西ヨーロッパの中世文化
- 諸地域世界の交流
- 陸と海のネットワーク
- 海の道の発展
- アジア諸地域世界の繁栄と成熟
- 東アジア・東南アジア世界の動向(明朝と諸地域)
- 清代の中国と隣接諸地域(清朝と諸地域)
- トルコ・イラン世界の展開
- ムガル帝国の興隆と衰退
- ヨーロッパの拡大と大西洋世界
- 大航海時代
- ルネサンス
- 宗教改革
- 主権国家体制の成立
- 重商主義と啓蒙専制主義
- ヨーロッパ諸国の海外進出
- 17~18世紀のヨーロッパ文化
- ヨーロッパ・アメリカの変革と国民形成
- イギリス革命
- 産業革命
- アメリカ独立革命
- フランス革命
- ウィーン体制
- ヨーロッパの再編(クリミア戦争以後の対立と再編)
- アメリカ合衆国の発展
- 19世紀欧米の文化
- 世界市場の形成とアジア諸国
- ヨーロッパ諸国の植民地化の動き
- オスマン帝国
- 清朝
- ムガル帝国
- 東南アジアの植民地化
- 東アジアの対応
- 帝国主義と世界の変容
- 帝国主義と列強の展開
- 世界分割と列強対立
- アジア諸国の改革と民族運動(辛亥革命、インド、東南アジア、西アジアにおける民族運動)
- 二つの大戦と世界
- 第一次世界大戦とロシア革命
- ヴェルサイユ体制下の欧米諸国
- アジア・アフリカ民族主義の進展
- 世界恐慌とファシズム諸国の侵略
- 第二次世界大戦
- 米ソ冷戦と第三勢力
- 東西対立の始まりとアジア諸地域の自立
- 冷戦構造と日本・ヨーロッパの復興
- 第三世界の自立と危機
- 米・ソ両大国の動揺と国際経済の危機
- 冷戦の終結と地球社会の到来
- 冷戦の解消と世界の多極化
- 社会主義世界の解体と変容
- 第三世界の多元化と地域紛争
- 現代文明
- 国際対立と国際協調
- 国際対立と国際協調
- 科学技術の発達と現代文明
- 科学技術の発展と現代文明
- これからの世界と日本
- これからの世界と日本
- その他
- その他