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ロシア革命 3 戦時共産主義とソ連の成立 |
著作名:
ピアソラ
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憲法制定議会とボリシェヴィキ独裁
革命後、ボリシェヴィキは、金融や鉄道などの産業を国有化し、地主からは土地を没収し、国家の所有地にするなど、さまざまな改革を行いました。
1917年11月25日、比例代表制の普通選挙が行われ、ロシア初の憲法制定議会が誕生しました。
ところが、この選挙で第一党になったのは革命を指導したボリシェヴィキではなく、社会革命党(エス=エル)だったのです。
700の全議席中、社会革命党は413議席、ボリシェヴィキは183議席という結果でした。
この選挙結果の理由は、それぞれの党の支持基盤の違いにありました。
ボリシェヴィキは労働者が支持層で、一方の社会革命党の支持層は農民でした。当時のロシアの人口のうち、農民が圧倒的多数だったため、社会革命党が第一党となったんですね。
憲法制定議会は1918年1月18日に開かれますが、その開会と同時にボリシェヴィキの要求が否定されたため、その翌日レーニンは武力で議会を閉鎖・解散させ、他の政党をすべて禁止してしまいます。
こうして、ボリシェヴィキによる一党独裁制が始まりました。
この一党独裁は「プロレタリア独裁」とも言われ、非常事態であった当時の状況からレーニンが当分の間という意味合いで始めたものでした。
戦時共産主義時代
一党独裁となったソヴィエト政権は、国内で反革命勢力との内戦と外国からの武力干渉の困難に直面します。
反革命軍は、白軍(白衛軍)と呼ばれ、主に帝政ロシア時代の将軍たちが率いていました。
その他、外債を踏み倒されたドイツ・イギリス・フランス・トルコ・日本・アメリカ・カナダなどの外国の軍隊も、チェコ軍の救済という名目で、ロシア領に侵入し、反革命勢力を支援し、対ソ干渉戦争を起こします。
1918年から1920年まで続いたこの時期の政策を、戦時共産主義といいます。
白軍に対抗するため、義勇軍を中心とした赤軍(赤衛軍)を組織し、経済面では、土地や生産工場の国営化を進め、賃金の現物支給や労働義務制、食料配給制を徹底し、農民に対しては、穀物の強制徴発を行い、食料と軍事の両面で安定を図ろうとします。
また、反革命派を取り締まるために、チェカ(非常委員会)を組織します。
ところが、この経済政策は農民の生産意欲を著しく損なったので、経済力は落ちていきました。
1919年、ソヴィエト=ロシアは共産主義インターナショナル(Communist International)、略してコミンテルン(第3インターナショナル)を組織します。
コミンテルンは、世界の共産党などの左翼勢力が、ソ連共産党の指導のもとモスクワで結成した組織で、その後ドイツ革命やハンガリー革命を援助していきます。
ネップ(新経済政策)とソヴィエト社会主義共和国連邦の成立
1921年、反革命勢力や外国の対ソ干渉戦争の終結が見え始めた頃、レーニンは生産性の低下したソ連経済を立て直すため、戦時共産主義を廃止し、ネップ(新経済政策、NEP)を採用しました。
ネップは、極度に低下した国内の生産力を回復させるために行われ、主に穀物徴発の廃止、小規模の私企業や小農の経営を認める内容で、これにより一部の生産者の生産意欲が向上し、1927年には国内の生産性が戦前水準に回復しました。
1922年には、全連邦ソヴィエト第1回大会が開催され、ロシア・ウクライナ・ベラルーシ・ザカフカース(現グルジア)の4つのソヴィエト共和国からなるソヴィエト社会主義共和国連邦(ソ連邦、ソ連、U.S.S.R)が誕生します。
ソ連は後にキルギス共和国、ウズベク共和国など15共和国まで拡大します。
ソ連は、1922年に孤立していたドイツと第1次世界大戦中の損害請求を相互に放棄する内容のラパロ条約を結び、外交面でも新しい動きが出てきました。
その後、ソ連の存在感は国際的にも大きくなっていきます。1924年にはイギリス・フランス・イタリア、翌年には日本がソ連を承認し、諸外国からの孤立を避け、ソ連の国際的な地位は次第に上がり、大国へとなっていきます。
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