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于武陵『勧酒』書き下し文・わかりやすい現代語訳(口語訳)と文法解説

著者名: 走るメロス
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はじめに

ここでは、中国の詩人于武陵(う ぶりょう)が詠んだ漢詩「勧酒」(酒を勧む)の原文(白文)、書き下し文と現代語訳・口語訳、文法解説を記しています。この歌は別れを詠んだものです。

原文(白文)

※左から右に読んでください

勧 君 金 屈 卮
満 酌 不 須 辞
花 発 多 風 雨
人 生 足 別 離

書き下し文

勧 君 (※1)金 屈 卮
君に勧む金屈卮
きみにすすむ きんくつし

(※2)満 酌 (※3)不 須
満酌辞するを須いず
まんしゃく じするをもちいず

(※4)発 多 風 雨
花発けば風雨多し
はなひらけば ふううおおし

人 生 (※5)足 別 離
人生別離足る
じんせい べつりたる

現代語訳(口語訳)

君に勧む金屈卮
あなたに勧めよう、この金の杯を。

満酌辞するを須いず
杯になみなみと注がれた酒を遠慮する必要はない。

花発けば風雨多し
花が咲くと雨や風(にさらされること)が多くなるように

人生別離足る
人の世も別ればかりが多いものだ。

単語

(※1)金屈卮曲がった柄のついた黄金の杯
(※2)満酌杯になみなみと注がれたお酒
(※3)不須「~もちいず」と読み、「~する必要はない」と訳す
(※4)発「(花が)咲く」という意味
(※5)足「多い」という意味


文法

形式:五言絶句

4つの句からなる詩を絶句(ぜっく)といい、8つの句からなる詩を律詩(りっし)といいます。例えばこの詩では、「勧君金屈卮」を1句と考えます。「勧酒」は4つの句からなるので絶句です。

また、絶句のうち1つの句が5文字からなるものを五言絶句(ごごんぜっく)といい、1つの句が7字からなるもの七言絶句(しちごんぜっく)といいます。

以上から、「勧酒」は「五言絶句」となります。

押韻:卮・辞・離

押韻(おういん)とは、漢詩を読んだ時に一定のリズムが出るように、同じ響きの言葉を句の最後に置くことです。例えばこの詩では、

卮(shi)、辞(ji)、離(ri)

が該当します。カッコの中は日本語の音読みです。だいたいが日本語の音読みで判別することができますが、本来は、作者が生きた時代の発音で韻を踏んでいるかどうかを確認します。よって、日本語の音読みだけでは判別ができない押韻も存在します。

押韻にはルールがあり、五言絶句では、原則、第2句末と第4句末に同じ響きの言葉が置かれますが、この詩では第1句末も押韻となっているので注意しましょう。

対句

対句とは、句を強調するために、形や語感が似たペアの句を作る技法です。ペアとなる句は、文法構造や用いている文字が呼応しているなどの特徴があります。五言絶句では必ずしも用いなくてもよい技法ですが、この漢詩では以下が対句となります。

第3句と第4句

花 発 多 風 雨
人 生 足 別 離

井伏鱒二の口語訳

ちなみにこの漢詩には、井伏鱒二が独自の解釈で口語訳をつけています。

コノサカズキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトエモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ

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鎌田正、米山寅太郎 著 2011 『新漢語林 第二版』大修館書店
『教科書 明解 国語総合』 三省堂

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