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『杜子春伝(道士前曰、「吾子之心〜)』書き下し文・現代語訳(口語訳)と解説
著作名: 走るメロス
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現代語訳(口語訳)

導士が進み出て言いました。
「お前の心は、喜・怒・哀・懼・悪・欲についてはすべて忘れていた。
まだ(忘れるまで)至っていないものは、愛だけであった。
もしお前の「あぁ」という声がなければ、私の薬は完成し、お前もまた仙人になっていただろう。
あぁ、仙人の才能を得ることは難しいことよ。
私の薬は再度錬成することができる。
しかしお前の体はこの世界に受け入れられているのだ。
(俗世間で)努めなさい。」と。


遥か遠くの道を指さして(杜子春を)帰らせました。
(しかしすぐには帰らずに)杜子春は、強引に炉に登って見ると、その炉はすでに壊れていました。
(炉の)中には腕の太さほどの鉄柱で、長さが数尺になるものがありました。
導士は衣服を脱いで、小刀でそれを削っていました。

杜子春は家に帰り、導士との近いを忘れてしまったことを恥じました。
そこでもう一度自分の過ちを謝ろうと思い、(導士のいた所に)行って雲台峰にたどり着いたのですが、人がいた形跡はなくなっていました。
(杜子春は)嘆き恨んで(家に)帰っていったのです。

単語・文法解説

所未臻者「未」は再読文字。「未A」で「いまだA(せ)ず」と読み、「まだA(し)ない」と訳す
吾之薬成「薬」は「仙人になるための薬」とする
使帰「使」は使役を表し、「使A」で「Aさせる」と訳す
為世界所容矣「為A所B」で「AのB(する)ところとなる」と読み、「AにBされる」と訳す






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