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テミストクレスとは わかりやすい世界史用語959 |
著作名:
ピアソラ
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テミストクレスとは
テミストクレス(紀元前524年頃 - 紀元前460年頃)は、古代アテネの政治家および軍人であり、特にペルシア戦争におけるサラミスの海戦での活躍で知られています。彼の戦略的な洞察力と政治的手腕は、アテネをギリシア世界の主要な海軍国に成長させ、ペルシアの脅威に対抗する上で決定的な役割を果たしました。
初期の生涯と政治家としての台頭
テミストクレスは、アテネのレオンティス部族のフレアリオイ・デーモス(現在のスニオン岬付近)で生まれました。父親はアテネ人の中小貴族であるネオクレスで、母親は非アテネ人とされています。彼は若い頃から聡明で勤勉であり、政治家としての道を歩み始めました。
紀元前493年、テミストクレスはアテネのエポニュモス・アルコーン(執政官)に選出されました。この時期、彼はアテネの海軍力を強化する必要性を強く訴え、ラウレイオン鉱山の銀を使って三段櫂船を建造することを提案しました。この提案は、当初はアテネ市民の間で反対意見もありましたが、最終的には承認され、アテネの海軍力は飛躍的に向上しました。
ペルシア戦争とサラミスの海戦
紀元前490年、ペルシア軍がアテネ近郊のマラトンに上陸し、マラトンの戦いが勃発しました。テミストクレスはこの戦いに参加し、アテネ軍の一員として戦いました。この戦いでの勝利は、ギリシア人にとって大きな士気向上となりましたが、テミストクレスはペルシアの再侵攻を予見し、さらなる備えが必要であると考えました。
紀元前480年、ペルシア王クセルクセス1世が再びギリシアに侵攻し、テルモピレーの戦いでスパルタ王レオニダス1世率いるギリシア軍が奮戦しましたが、最終的には敗北しました。この後、テミストクレスはギリシア連合艦隊の指揮を執り、サラミスの海戦でペルシア艦隊を撃破しました。この戦いは、ギリシア側の決定的な勝利となり、ペルシアの侵攻を食い止めることに成功しました。
政治的な闘争と追放
サラミスの海戦後、テミストクレスはアテネの政治家としての地位をさらに強固なものにしましたが、その一方で多くの敵を作りました。特に、スパルタとの関係が悪化し、アテネの再要塞化を進めたことがスパルタの反感を買いました。紀元前472年または471年、テミストクレスは陶片追放(オストラキスモス)によってアテネを追放され、アルゴスに亡命しました。
その後、テミストクレスはペルシアに逃れ、ペルシア王アルタクセルクセス1世の庇護を受けました。彼はマグネシアの総督に任命され、そこで余生を過ごしました。テミストクレスは、ペルシア王からアテネ遠征のための艦隊を率いるよう命じられましたが、祖国に対する攻撃を良しとせず、毒を飲んで自殺したと伝えられています。
テミストクレスの遺産
テミストクレスの死後、その業績は再評価され、彼はアテネおよびギリシア全体の英雄として称えられるようになりました。彼の戦略的な洞察力と政治的手腕は、アテネをギリシア世界の主要な海軍国に成長させ、ペルシアの脅威に対抗する上で決定的な役割を果たしました。
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