大越（ダイベト）は、1054年から1802年にかけて現在のベトナム北部を中心に存在した歴史的な王国です。この王国は、ベトナムの歴史において重要な役割を果たし、多くの王朝が交代しながら繁栄と衰退を繰り返しました。


大越の歴史は、968年に丁部領が12使君の乱を平定し、大瞿越を建国したことに始まります。1054年、李聖宗が国号を大越に改めました。この時期から、ベトナムは独自の文化と政治体制を発展させ、中国の影響から脱却し始めました。


李朝は、1009年に李公蘊が即位し、首都を昇龍（現在のハノイ）に遷都したことで始まりました。李朝は、仏教を国家宗教とし、多くの寺院や仏教施設を建設しました。また、農業の発展と灌漑システムの整備により、経済的にも繁栄しました。


陳朝は、1225年に陳氏が李朝を倒して成立しました。陳朝は、元朝の侵攻を三度にわたって撃退し、ベトナムの独立を守りました。また、陳朝時代には儒教が隆盛し、科挙制度が整備されました。


胡朝は、1400年に胡季犛が陳朝を倒して成立しました。胡朝は、短命に終わりましたが、紙幣の発行や土地改革などの革新的な政策を実施しました。しかし、1407年に明朝の侵攻を受け、胡朝は滅亡しました。


後黎朝は、1428年に黎利が明朝を追放し、独立を回復したことで始まりました。黎朝は、中央集権的な統治体制を確立し、経済的にも繁栄しました。特に、黎聖宗の治世は、大越の黄金時代とされています。


莫朝は、1527年に莫登庸が黎朝を倒して成立しました。莫朝は、黎朝の復興を目指す南方の勢力と対立し、内戦状態が続きました。最終的に、黎朝が復興し、莫朝は滅亡しました。


西山朝は、1778年に西山兄弟が黎朝を倒して成立しました。西山朝は、国内の統一と改革を目指しましたが、1802年に阮朝の嘉隆帝によって倒されました。


大越の経済は、主に農業に依存していました。特に、紅河デルタ地帯は肥沃な農地として知られ、米の生産が盛んでした。また、交易も重要であり、中国や他の東南アジア諸国との貿易が行われました。

文化的には、大越は中国の影響を受けつつも、独自の文化を発展させました。特に、仏教と儒教が重要な役割を果たし、多くの寺院や学問所が建設されました。また、文学や芸術も発展し、多くの詩人や画家が活躍しました。


大越の遺産は、現在のベトナムの文化と歴史に深く根付いています。特に、ハノイの旧市街や多くの寺院、歴史的建造物は、大越時代の遺産として保存されています。