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ロゼッタストーンとは 世界史用語167 |
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著作名:
ピアソラ
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ロゼッタストーンとは、古代エジプトの文字と言語を解読するための鍵となった、歴史的にも重要な石碑の一部です。現在はロンドンの大英博物館に収蔵されています。この石碑は、紀元前196年にエジプトのプトレマイオス朝時代に作られたもので、当時の王プトレマイオス5世エピファネスへの忠誠と崇拝を宣言する神官たちの布告が刻まれています。この布告は、エジプトの神聖文字であるヒエログリフ、エジプトの日常文字であるデモティック、そしてギリシア文字の3種類の文字と言語で記されていました。同じ内容の石碑がエジプトのすべての神殿に設置されることになっていました。
ロゼッタストーンは、1799年にナポレオン率いるフランス軍がエジプトを占領した際に発見されました。エジプトは当時オスマン帝国の一部でしたが、ナポレオンは科学者や歴史家も同行させて、エジプトの古代遺跡を調査しました。その中で、フランス兵のブーシャールが、エジプト北東部のロゼッタという町の近くで、古代遺物で作られた壁を壊していたときに、3種類の文字が刻まれた大きな石片を見つけました。ブーシャールは、この石片が3つの言語で同じことを言っているのではないかと考え、フランスの学者たちに見せました。彼らは、この石片がロゼッタストーンであり、その表面に彫られた文字と記号が、古代エジプト文明の数々の謎を明らかにすることになるとは夢にも思いませんでした。
ロゼッタストーンは、フランスの学者たちがエジプトから持ち帰ろうとした多くの古代遺物の一つでしたが、1801年にイギリス軍がフランス軍に勝利した後、イギリスの手に渡りました。イギリスの学者たちは、ロゼッタストーンを研究することで、ヒエログリフやデモティックといったエジプトの文字と言語を解読することに成功しました。その功績は、主にイギリスのトーマス・ヤングとフランスのジャン=フランソワ・シャンポリオンによるものでした。ヤングは、ロゼッタストーンに6つある同じ形のヒエログリフが、プトレマイオスという名前を表していることを突き止めました。これにより、他の碑文にあるヒエログリフが王の名前であるという長年の仮説が証明されました。また、ヤングは、鳥や動物の向きから、ヒエログリフの読み方を発見しました。シャンポリオンは、ヤングの成果をもとに、1821年から1822年にかけて、ヒエラティック(ヒエログリフの草書体)やヒエログリフの解読に関する論文を発表しました。シャンポリオンは、ヒエログリフの中にはアルファベット的なもの、音節的なもの、そして意味を表す決定的なものがあることに気づき、ヒエログリフの記号とギリシア文字の対応表を作り上げました。
ロゼッタストーンの発見と解読は、エジプト学の発展に大きな影響を与えました。ヒエログリフやデモティックを読むことができるようになったことで、古代エジプトの歴史や文化や宗教に関する多くの情報が明らかになりました。また、ロゼッタストーンは、言語学や文字学や翻訳学などの分野にも貢献しました。ロゼッタストーンは、異なる言語や文字を比較することで、共通点や相違点を見出す方法を示しました。さらに、ロゼッタストーンは、人類の歴史や文明に関する普遍的なメッセージを伝える象徴としても機能しました。
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