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主要なローマ教皇 ~時代背景とその業績~ |
著作名:
レキシントン
30,681 views |
はじめに
キリスト教の成立とともに、ローマ教皇は歴史にさまざまな影響を与えました。このテキストでは、主要なローマ教皇と、どの時代にどんな業績を残したかをまとめてみます。
(初代ローマ教皇ペテロ)
ペテロ(1世紀頃)
・ペテロは、キリストの12使徒の一人で、ローマ皇帝ネロのキリスト教迫害の時期に殉教したと伝えられています。
・ペテロの墓はローマにあり、後にそこに聖ペテロを意味するサン・ピエトロ大聖堂が建立されます。
・当時のキリスト教には、ローマ・コンスタンティノープル・アンティオキア・イェルサレム・アレクサンドリアに総大司教座があり、それぞれが首位権(首位教会としての権利)を争っていました。
・ペテロ亡き後、325年のニケーア公会議で三位一体説を主張するアタナシウス派がカトリック(普遍的)であると認められると、ローマ=カトリック教会の権力が拡大していき、5世紀以降ローマ司教がペテロの後継者として教皇となりました。
ローマ=カトリックの最高首長が教皇で、その俗称を法王と言います。
レオ1世(在位440~461)
・フン族の王アッティラのローマ侵攻を説得し、ローマの破壊を阻止した教皇です。
・451年のカルケドン公会議で、キリスト教の一派の単性論を異端にします。
・コンスタンティノープル教会(ギリシア正教会)と首位権をめぐって争いました。
グレゴリウス1世(在位590~604)
・中世のカトリック教会の権力基盤を確立した教皇です。
・東方教会(ギリシア正教会)に対抗して、アングロ=サクソンの布教に努めました。
レオ3世(在位795~816)
・800年に、フランク王国のカールに戴冠を行った教皇です。
・東ローマのビザンツ皇帝の権力から脱却し、ローマ教会の権力確立に努めました。
・カール大帝の戴冠と同時に、西ローマ帝国の再興を宣言し、ゲルマン文化・ローマ文化・キリスト教文化の融合が図られ、その後の西ヨーロッパ文化の基礎になりました。
グレゴリウス7世(在位1073~1085)
・時代とともに少しづつ教会腐敗・世俗化が進んできたカトリック教会の改革に努めた教皇です。
・教会刷新運動の中心だったベネディクト派のクリュニー修道院出身です。
・聖職売買や聖職者の結婚を禁止しました。
・大司教などの高位聖職者を任命する権利を神聖ローマ皇帝と争います(叙任権闘争)。
・叙任権闘争で対立した神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世を破門し(カノッサの屈辱)、1077年に謝罪させ、聖職叙任権を教皇が保持するようになりました。
ウルバヌス2世(在位1088~1099)
・クリュニー修道院出身の教皇で、同じく教会改革を進めます。
・当時イスラム勢力の侵攻を受けていた東ローマ帝国の要請を受け、クレルモン宗教会議を招集し、十字軍の提唱者になりました。
インノケンティウス3世(在位1198~1216)
・ローマ教皇の権力を最高潮にした教皇です。
・フランス王フィリップ2世、イギリスの失地王ジョンを破門します。
・「教皇権は太陽であり、皇帝権は月である」という有名な言葉を遺しています。
・第4回十字軍の提唱者で、この十字軍はコンスタンティノープルを占領した後ラテン帝国を樹立し、一時的にビザンツ帝国を滅亡させます。
ボニファティウス8世(在位1294~1303)
・教皇権が衰退しつつあった時代の教皇です。
・中央集権化を進めるフランス王フィリップ4世と聖職者への課税問題で対立し、アナーニに幽閉された後憤死します(アナーニ事件)。
・この後フランス王により教皇庁がフランスのアヴィニョンに移転させられ、以後7代にわたった教皇のバビロン捕囚がはじまります。
ユリウス2世(在位1503~1513)
・ローマ=ルネサンスを奨励した教皇です。
・サン・ピエトロ大聖堂の改築をブラマンテに命じます。
・ミケランジェロに、システィナ礼拝堂の『天地創造』を強要して描かせました。
レオ10世(在位1513~1521)
・フィレンツェの大富豪メディチ家の出身です。
・サン・ピエトロ大聖堂の建築費を賄うために贖宥状を販売します。
・ルターが九十五ヶ条の論題でこれに反論し、宗教改革のきっかけを作りました。
パウルス3世(在位1534~1549)
・反宗教改革を主導した教皇です。
・イギリスのヘンリ8世の離婚に反対し、破門しました。結果として、イギリスにはカトリック教会とは異なるイギリス国教会が誕生します。
・トリエント公会議を開催し、教皇の至上権とカトリック教義を再確認します。
・1534年にイグナティウス・ロヨラが設立したイエズス会を1540年に認可しました。
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