オリエントとは、「日の昇るところ」という意味のラテン語に由来し、西洋から見た東方の地域を指す言葉です。オリエントには、エジプト、メソポタミア、ペルシア、インド、中国などの古代文明が栄えました。これらの文明は農業や貿易によって豊かになり、都市や国家を形成しましたが、同時に、階級や身分の差が生まれ、社会の不平等や対立も深まりました。


エジプトは紀元前3000年頃から王朝が成立し、約3000年にわたって続いた古代文明です。エジプトの社会は、王（ファラオ）を頂点とする階級制度によって支配されていました。王は神の子として崇拝され、絶対的な権力を持っていました。王の下には、神殿や墓を建設するための労働力を管理する高官や神官がいました。彼らは土地や財産を与えられ、豊かな暮らしをしていました。次に、官吏や軍人、医師や技術者などの専門職が続きました。彼らは社会的な地位や報酬を得ました。さらに、商人や職人、農民などの自由民がいました。彼らは土地や家を持ち、一定の権利を保障されていました。最下層には、戦争や貿易で捕らえられた奴隷がいました。彼らは重労働や危険な仕事に従事させられました。エジプトの階級社会は法律や宗教によって厳格に規定され、階級の移動はほとんどありませんでした。




メソポタミアは紀元前3000年頃からシュメール人が都市国家を築き始めた古代文明です。その後、セム語系の民族が王国や帝国を建てました。メソポタミアの社会もエジプトと同様に、王を中心とする階級制度によって支配されていました。王は神の代理人として統治し、神殿や宮殿を建設しました。王の下には、神官や貴族、軍司令官などの高位の役人がいました。彼らは土地や奴隷を与えられ、権力や富を享受しました。次に、自由民がいました。彼らは職業に従事し、法的な保護を受けました。最下層には、奴隷がいました。彼らは所有者の支配下で働かされました。メソポタミアの階級社会は法典によって規制されていました。


オリエントの階級社会は長い歴史の中で様々な変遷を経験しました。一つの要因は外部からの侵略で、異民族が文明を征服し、同化させる一方で、自らの文化や制度も持ち込みました。例えば、アラブ人の侵入によってイスラム教が広まり、イスラム法が導入されました。これによって、階級間の流動性が高まりました。もう一つの要因は内部からの革命で、不満や反発が大きな変動を引き起こしました。エジプトやメソポタミアでの王朝交代や反乱などがその例です。