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高解像度で見る世界の美術 グランド・オダリスク アングル
著作名: エンリケ航海王子
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ドミニク・アングル

ドミニク・アングルは、1780年、フランス南西部の町モントーバンに生まれました。画家である父の手ほどきを受けながら芸術の才能を開花させ、11歳で王立美術アカデミーに入学し、17歳でダヴィッドに師事します。その後ローマ賞を受賞し、数年間イタリアに滞在し、ルネサンスの巨匠たち、特にラファエロの作品を研究しました。この間に、人体の優雅で優美な美しさや素材の質感を重視した絵画への転換の必要性を痛感したといいます。

グランド・オダリスク

目を見張るような作品に慣れてくると、裸の女性が描かれていることに目を奪われるかもしれません。現代の私たちの目には不愉快に映るかもしれませんが、豪華な舞台装置と、絵の世界を洞察させる細部の描写を無視することはできません。豪華なソファ、孔雀の羽の扇、きらめく青いカーテンは、豪華さと贅沢さを感じさせ、喫煙するパイプと香炉は、世俗の心配から解放された快楽の生活をほのめかしているといわれています。

オダリスクという女奴隷が住むトルコのハーレムの奥まったところに入り込んだと思わせるこの作品は、陰謀と魅惑、そして一抹の危険も感じさせます。前景は豊かな青と金で満たされ、背景は深い黒で塗られていおり、絵画の表面は細部まで丁寧に描かれ、触感と光沢のある美しさを感じさせます。しかし、よく見ると、この女性の身体は背骨は細長く、右腕をには肘がなく、現実にはあり得ない描写がされています。1819年のパリ・サロンに出品されたとき、この絵は多くの人々の注目を浴びました。

このように、この作品には解剖学的に不正確な点があるかもしれませんが、それは画家であるドミニク・アングルが、より例外的で完璧なイメージを作り出すために意図的に行ったものであると考えられています。

また、アングルの絵は、古典美術の主題を復活させ、バランスと調和を重視した、当時の新古典主義運動の影響を受けています。ジャック=ルイ・ダヴィッドの「レカミエ夫人」の肖像画から着想を得て描かれたこの作品は、現在も美術史上の重要な作品として位置づけられています。


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