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宣教師の布教活動② ~マテオ=リッチ、アダム=シャール、フェルビースト、カスティリオーネ~ |
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著作名:
エンリケ航海王子
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前回は、なぜ海外の布教を宣教師たちが盛んに行ったのかを中心に見ていきましたが、今回は、フランシスコ=ザビエルののち、中国で布教活動を行った宣教師たちを説明します。
イタリア出身のイエズス会宣教師です。中国名を利瑪竇(りまとう)と言います。
ザビエルが果たせなかった中国布教を、最初に始めた人物で、1583年に中国に渡りました。
初めて訪れた中国の地で、キリスト教の布教は非常に難しい活動でした。
そこで彼は、自ら中国語を取得し、カトリックの教えを漢訳した『天主実義』という本を書きます。
また、1601年には皇帝への謁見を果たしたあと北京での滞在を許され、中国で初となる教会を建設しました。
彼は布教の際に、官僚たちの制服だった儒学者の衣をまとい、キリスト教と中国の伝統的文化との融合を図りながら活動しました。これは、ヨーロッパと異なる社会の中で、中国の伝統文化を全うから否定せずに布教活動を行う必要があったからです。
熱心な布教の結果、彼は徐光啓(1562~1633年)などの高級官僚の信者を獲得します。
一方彼は、布教だけでなく、ヨーロッパ文化を中国に伝え、さまざまな功績を残したことでも知られています。
特に、徐光啓とともにエウクレイデス(ユークリッド)の幾何学を漢訳した『幾何原本』や、中国初の世界地図でもある『坤輿万国全図』などを刊行させます。
(『幾何原本』の挿絵に描かれたマテオ=リッチと徐光啓)
この坤輿万国全図は鎖国時代の日本にも伝えられ、諸外国の情勢を知る貴重な資料となります。
1622年に中国へ渡ったドイツ人宣教師です。中国名を湯若望と言います。
マテオ=リッチと同じくイエズス会士で、明末から清のはじめにかけて、布教と西洋文化の紹介に力を注ぎました。
彼は、『崇禎暦書』という暦の本を刊行し、これは後に清朝になってから実施された時憲歴の参考書として重要な役割を果たします。
また、清朝では、天文台の責任者を務めました。
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