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as ~ as …
著作名: Satow
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ある英文法書で、T.D.ミントンという人が次のような例文を紹介しています。皆さんは訳せますか? これは筆者が大学生だった頃、筆者の友人が漏らした不満で、あるパーティに同席した講師に対するものだったそうです。(ちなみに、fartは「オナラ」で、liftはイギリス英語で「エレベーター」をいいます) 

・He's as welcome as a fart in a lift.

ふつうならば、「彼はエレベーター内のオナラと同じくらいに歓迎される」となります。しかし…それはさすがに……よほどの奇特な趣味の方ではないとちょっと………。

では、次のように考えてみましょう。A is as ~ as Bという構文は、「AはBと同じくらい~だ」と訳されますね。AとBとは~の程度が同じなのです。だから、この例文も「彼とエレベーター内のオナラとは同じ程度に歓迎される」という意味になります。

ところで、ふつうエレベーター内のオナラは歓迎されません。歓迎される程度をレベルで表現すれば、レベル・ゼロなのです。それと同じ程度に彼が歓迎されるのだから、そのレベルもゼロになるのです。

こう言った調子で考えれば、この例文の意味もつかめそうですね。つまり、以下のようになるのです。すると、あら不思議、どこにも否定がないにもかかわらず、訳せば否定となるのです。

・彼はエレベーター内のオナラと同じ程度に歓迎される。
=彼はエレベーター内のオナラと同様に歓迎されない。

ちなみに、筆者は言っています、このような表現はネイティブスピーカーが「皮肉やユーモアを込めたコメントをしたいと思ったときに」使う、そして「その多くは悪趣味なもの」だ、と。他にも(別の市販の文法書から)例文を挙げておきましょう。なるほど、確かに悪趣味…かもしれませんが……。

That guy Morrow was about as sensitive as a goddam toilet seat.
(あのモローってやつの感受性ときたら、まず、便座並みだった)
=あのモローってやつは便座と同様に鈍感だ

She was about as kind-hearted as a goddam wolf.
(彼女の心の優しさは、まず、オオカミ並みだった)
=彼女はオオカミと同様にまったく親切じゃない

I liked him as much as Churchill liked Hitler.
(ぼくが彼を好きなのは、チャーチルがヒトラーを好きな程度だった)
=チャーチルがひヒトラーを全然好きでなかったのと同様に、僕は彼が好きでない。

実は、この構文は比較に見えて比較ではない構文です。その意味でいわゆるクジラ構文ともきわめて似通っています。おそらくは書き換えすらできるのではないか、とすら思われます。この構文は大学入試問題ではほとんど見かけませんが、それでも出題されていないわけではありません。出題されないにしても、長文にひょいと使われていることもあります。知っておくに越したことはないでしょう。以下に、実際の入試問題を見てみましょう。専修大学文学部の問題です(2018年度)。

 The great Romantic poet Percy Bysshe Shelley is celebrated for famous poems, but he was also a radical thinker-and his revolutionary ideas were like a storm in his teacup.
 Slender of body and strict in habit, the tall, handsome poet had no taste for rich foods or wine. A vegetarian who hated animal killing-though he could not sometimes resist eating lamb and bacon-Shelley was an indifferent eater. He would absently spoon tasteless food down his throat while his bright blue eyes followed Aeschylus or Plutarch, whose essays on vegetarianism he translated.
 But the one drink about which he was crazy was tea. His appetite for tea was limitless. Probably, Shelley would have loved to load his cup with sugar-he had a strong sweet tooth. However, in his lifetime, sugar came to mean the evils of slavery. In the liberal circles Shelley moved in, eating sugar was about as acceptable as displaying an ivory in one’s living room is today.

下線部に関してあてはまる最も適切なものを①~④の中から1つ選びなさい。

①砂糖と象牙が南の国から輸入されるものの例として比較されている。
②砂糖が当時受け入れられなかったことが、今日の象牙を例として語られている。
③砂糖と象牙が同じように広く受け入れられているものの例として並べられている。
④象牙が当時の砂糖と同様、今日実体以上の価値のあるものの例として提示されている。

どうでしょう。そうです、A is as ~ as Bという形で「AはBと同様~ない」と否定的に訳されるのです。そして選択肢で否定的に解釈されているのは一つしかないのです。この形は参考書では見かけませんが、実際に入試問題にも出題される形なのです。参考にしてください。

〔訳〕
 偉大なるロマン主義的詩人のパーシー・ビッシュ・シェリーはいくつかの有名な詩で名高いが、また急進的思想家でもあった。彼の革命的思想はティーカップの中の嵐のようなものだった。
 ほっそりした体型で厳しい習慣の持ち主で、この背の高いハンサムな詩人には高価な食事やワインの趣味はなかった。動物を殺すのが嫌いな菜食主義者で—ラムやベーコンを食べるのを時には抗えなかったのだが—シェリーは食事には無関心だった。彼はよくぼんやりして味のない食べ物をスプーンでのどに流し込み、その間にも彼の輝く瞳はアイスキュロスやプルタルコスの文章を追っていた。彼はこの二人の菜食主義に関するエッセイを翻訳したのだった。
 しかし彼が夢中になっていた飲み物は紅茶だった。彼の紅茶への欲求はきりがなかった。たぶん、シェリーはカップに砂糖を添えていただろう、というのも彼は大の甘党だったのだ。しかしながら、彼の生きている時代、砂糖は奴隷制の悪を象徴するようになっていた。シェリーの加わった自由主義者の集まりの中では、砂糖を食べることは今日では象牙を居間に飾るのと同様に受け入れがたいものだった。 

では、また。


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