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高校古文『出でて往なばたれか別れの難からむありしにまさる今日は悲しも』わかりやすい現代語訳と品詞分解
著作名: 走るメロス
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はじめに

このテキストでは、伊勢物語の40段『すける物思ひ』に収録されている歌「出でて往なばたれか別れの難からむありしにまさる今日は悲しも」の原文、現代語訳・口語訳と解説(反語など)、そして品詞分解を記しています。



原文

出で往なば たれか別れの 難からむ ありしにまさる 今日は悲し

ひらがなでの読み方

いでていなば たれかわかれの かたからむ ありしにまさる けふはかなしも

現代語訳

(女性が自ら)出て行ったのならば、誰が別れ難いと思いましょうか。(しかしそうではないので)今までにまさって、今日は悲しいことですよ。



解説

伊勢物語には次のように書かれています。
ある若い男性が、実家で親が召し抱えている女性に恋をしました。おせっかいな親は、息子がその女性に熱をあげたら困ると思い、女性を外へと追い出してしまいました。男性はまだ親がかりな身なために、女性をよそにやらないようにと親にお願いをするほどの気力がなく、女性も身分が低いため、追い出されることにあらがうことができません。男性は
血の涙を流て悲しみ、この歌を詠みました。

文法解説

反語

たれか別れの難からむ

「たれ別れの難からむ」の「か」は反語を表し、より詳細に訳すのであれば「誰が別れ難いと思いましょうか(いや、思いません)。」となります。また、「か〜む」で係り結びとなります。

品詞分解

※名詞は省略しています。



出でダ行下二段活用「いづ」の連用形
接続助詞
往なナ行変格活用「いぬ」の未然形
接続助詞
たれ代名詞
係助詞
別れ
格助詞
難からク活用の形容詞「かたし」の未然形
推量の助動詞「む」の連体形
ありラ行変格活用「ある」の連用形
過去の助動詞「き」の連体形
格助詞
まさるラ行四段活用「まさる」の連体形
今日
係助詞
悲しシク活用の形容詞「かなし」の終止形
詠嘆の終助詞


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