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古文単語「もらす/漏らす/洩らす」の意味・解説【サ行四段活用】
著作名: 走るメロス
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もらす/漏らす/洩らす

このテキストでは、サ行四段活用の動詞「もらす/漏らす/洩らす」の意味、活用、解説とその使用例を記している。

サ行四段活用

未然形もらさ
連用形もらし
終止形もらす
連体形もらす
已然形もらせ
命令形もらせ


意味1:他動詞

(水や涙などを)
こぼす、漏らす

[出典]:伊勢物語
「むかし、色好みなりける女、いでていにければ、
などてかく逢ふ期かたみになりにけむ水もらさじと結びしものを」

[訳]:昔、多情であった女が、出て行ってしまったので(詠んだ歌)
どうしてこんなに逢う機会を得難くなったのだろう。水も漏らさない(ほど親密な仲)でいようと約束していたのに


意味2:他動詞

(秘密や心に思っていることなどを)
人に知らせる、口外する、ばらす、うっかり外に現す

[出典]:夕顔 源氏物語
「心よりほかにもらすな。」

[訳]:決して他の者に口外してはならない。




意味3:他動詞

省略する、省く、抜かす

[出典]:少女 源氏物語
「女のえ知らぬことまねぶは、憎きことをと、うたてあればもらしつ。」

[訳]:女では理解できない(漢詩の)ことを口にするのは、憎らしいことと(言われると思い)、不愉快に思われるので省略した。


意味4:他動詞

取り逃がす

[出典]木曾最期 平家物語
「只今なるのは大将軍ぞ。あますな者ども、もらすな若党、うてや」

[訳]:たったいま(名乗った)のは大将軍だ。討ち残すな皆の者よ、取り逃がすな若者ども、討て。


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