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源氏物語『御法・紫の上の死』(御物の怪などの〜)の現代語訳と解説
著作名: 走るメロス
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源氏物語『御法』

ここでは、源氏物語の『御法』の章から、「御物の怪などの、これも〜」から始まる部分の現代語訳・口語訳とその解説をしています。書籍によっては「紫の上の死」、「荻の上露」と題するものもあるようです。

前回のテキスト
「宮も帰り給はで〜」の現代語訳と解説

原文

「御物の怪などの、これも、人の御心乱らむとて、かくのみものは侍めるを、さもやおはしますらむ。さらば、とてもかくても、御本意のことはよろしきことに侍るなり。一日一夜忌むことのしるしこそは、むなしからずは侍るなれ。まことにいふかひなくなり果てさせ給ひて、後の御髪ばかりをやつさせ給ひても、異なるかの世の御光ともならせ給はざらむものから、目の前の悲しびのみまさるやうにて、いかが侍るべからむ。」


と申し給ひて、御忌みに籠り候ふべき心ざしありてまかでぬ僧、その人、かの人など召して、さるべきことども、この君ぞ行ひ給ふ。

現代語訳(口語訳)

(夕霧が次のように言います。)
物の怪などが、今回も、人のお心を乱そうとして、このようにすることもあるようですから、そのようなことでいらっしゃるのでしょうか。そうであれば、いずれにせよ、(出家したいという)願いは結構なことでございます。一日一夜でも出家の道にお入りになられたことの効果は、無駄ではないと申します。本当にお亡くなりになられて、後に御髪だけを剃髪なされても、(現世と)異なるあの世界への光とはおなりにならないでしょうから、目の前の悲しみにが増えるようで、いかがなものでございましょうか。


と申し上げなさって、御忌みに籠もって居続けようという意志があって退出していない僧のうち、あの僧、この僧などをお召しになって、しかるべきことなどを、この君(夕霧)が執り行いになります。

品詞分解

品詞分解はこちら
「御物の怪などの〜」の品詞分解

単語・文法解説

とてもかくてもいずれにせよ
侍る丁寧の補助動詞「はべり」の連体形
むなしから形容詞「むなし」の未然形。効果がない、無駄である
まかでダ行下二段活用「まかづ」の未然形。退出する
さるべきことしかるべきこと



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