更新日時:
|
|
平家物語原文全集「俊寛沙汰・鵜川軍 2」 |
|
著作名:
古典愛好家
7,209 views |
安元三年三月五日、妙音院殿、太政大臣に転じ給へるかはりに、大納言定房卿を越えて、小松殿、内大臣になり給ふ。大臣の大将めでたかりき。やがて大饗おこなはる。尊者には大炊御門左大臣経宗公とぞ聞えし。一の上(かみ)こそ先途なれども、父宇治の悪左府の御例その憚(はばか)りあり。
北面は上古にはなかりけり。白河院の御時、はじめおかれてより以降、衛府共あまた候ひけり。為俊・盛重、童より千年丸・今犬丸とて、これらは左右なききりものにてぞありける。鳥羽院の御時も、季教(すえのり)・季頼(すえより)父子ともに朝家(ちょうか)に召しつかはれ、伝奏する折もありなんど聞えしかども、皆身のほどをば振舞ふてこそありしに、この時の北面の輩は、もっての外に過分にて、公卿・殿上人をもものともせず、礼儀礼節もなし。下北面より上北面にあがり、上北面より殿上の交じはり許さるる者もあり。。かくのみ行はるる間、奢(おご)れる心どもも出できて、よしなき謀反にもくみしけるにこそ。中にも故少納言信西がもとに召しつかひける師光(もろみつ)・成景といふ者あり。師光は阿波国の在庁、成景は京のもの、熟根賤し(いや)き下臈(げろう)なり。健児(こんでい)童(わらは)、もしは格勤者(かくごんしゃ)なんどにて召しつかはれけるが、さかざかしかりによって、師光は左衛門尉、成景は右衛門尉とて、二人一度に靱負尉になりぬ。信西事にあひし時、二人ともに出家して左衛門入道西光、右衛門入道西敬とて、これらは出家の後も、院の御倉あづかりにてぞありける。
つづき
このテキストを評価してください。
役に立った
|
う~ん・・・
|
※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。 |
|
平家物語原文全集「俊寛沙汰・鵜川軍 1」
>
平家物語原文全集「俊寛沙汰・鵜川軍 3」
>
更級日記 原文全集「東山」
>
蜻蛉日記原文全集「師走になりぬ」
>
枕草子 原文全集「わびしげに見ゆるもの」
>
平家物語原文全集「少将乞請 3」
>
枕草子 原文全集「内裏の局」
>
最近見たテキスト
平家物語原文全集「俊寛沙汰・鵜川軍 2」
10分前以内
|
>
|
デイリーランキング