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蜻蛉日記原文全集「閏二月のついたちの日、雨のどかなり」 |
著作名:
古典愛好家
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蜻蛉日記
閏二月のついたちの日、雨のどかなり
閏二月のついたちの日、雨のどかなり。それよりのち天はれたり。
三日、かたあきぬとおもふを、おとなし。
四日もさて暮れぬるを、あやしとおもふおもふ寝てきけば、夜中許に火のさわぎするところあり。
「ちかし」
ときけど物うくておきもあがられぬを、これかれとふべき人、かちからあるまじきもあり。それにぞおきて出でてこたへなどして、
「火しめりぬめり」
とてあかれぬれば、いりてうちふすほどに、さきおふ者、門にとまる心ちす。あやしときくほどに、
「おはします」
といふ。ともし火のきえて、はひ入るに暗ければ、
「あな暗、ありつるものをたのまれたりけるにこそありけれ。ちかき心ちのしつればなん。いまはかへりなんかし」
といふいふうちふして、
「よひよりまゐりこまほしうてありつるを、をのこどもも皆まかりでにければ、えものせで。むかしならましかば、馬にはひのりてもものしなまし。なでふ身にかあらむ、なにばかりのことあらばかくて来(き)なんなど思ひつつねにけるを、かうののしりつればいとをかし。あやしうこそありつれ」
など、心ざしありげにありけり。あけぬれば
「車など、ことやうならん」
とて、いそぎかへられぬ。
六、七日、物忌ときく。
八日、雨ふる。よるは石のうへの苔くるしげにきこえたり。
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