|
|
|
更新日時:
|
|
![]() |
蜻蛉日記原文全集「からうじて行きすぎて」 |
著作名:
古典愛好家
11,080 views |
蜻蛉日記
からうじて行きすぎて
からうじて行きすぎて、走井(はしりゐ)にて破籠(わりご)などものすとて、幕ひきまはしてとかくするほどに、いみじくののしるもの来(く)。いかにせん、誰ならん、供なる人見知るべきものにもこそあれ、あないみじと思ふほどに、馬にのりたるものあまた、車二三ひき続けてののしりて来(く)。
「若狹の守の車なりけり」
といふ。立ちもとまらで行きすぐれば、心ちのどめて思ふ。あはれ、ほどに従ひては思ふ事なげにても行くかな、さるは明け暮れひざまづきありくもの、ののしりてゆくにこそあめれと思ふにも、胸さくる心ちす。下衆ども、車の口につけるも、さあらぬも、この幕ぢかに立ちよりつつ水あみさわぐふるまひの、なめうおぼゆること物に似ず。我ともの人わづかに
「あふ立ちのきて」
などいふめれば、
「例もゆき来の人よる所とは知りたまはぬか、とがめ給ふは」
などいふを見る心ちは、いかがはある。
やりすごして今は立ちてゆけば、関うちこえて、打出(うちいで)の濱に死にかへりてゐたりたれば、先だちたりし人、舟にこも屋形ひきてまうけたり。ものもおぼえずはひ乗りたれば、はるはるとさし出だしてゆく。いと心ちいとわびしくもくるしうも、いみじう物かなしう思ふこと、たぐひなし。申(さる)のをはりばかりに、寺の中につきぬ。
このテキストを評価してください。
役に立った
|
う~ん・・・
|
※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。 |
|
蜻蛉日記原文全集「ともあれかくもあれただいとあやしきを」
>
蜻蛉日記原文全集「湯屋に物など敷きたりければ行きて臥しぬ」
>
更級日記 原文全集「東山」
>
枕草子 原文全集「菩提といふ寺に」
>
蜻蛉日記原文全集「それより立ちて行きもて行けば」
>
蜻蛉日記原文全集「あくれば五日のあか月に」
>
枕草子 原文全集「ころは正月」
>
最近見たテキスト
蜻蛉日記原文全集「からうじて行きすぎて」
10分前以内
|
>
|
デイリーランキング
注目テキスト