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枕草子 原文全集「病は/十八九ばかりの人の/八月ばかりに」 |
著作名:
古典愛好家
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病は
病は。胸。物の怪(もののけ)。脚の気。はてはただそこはかとなくて物くはれぬ心地。
十八九ばかりの人の
十八九ばかりの人の、髪いとうるはしくて、たけばかりに、裾(すそ)いとふさやかなる、いとようこゑて、いみじう色しろう、顔愛敬づき、よしとみゆるが、歯をいみじう病みて、額髪もしとどになきぬらし、みだれかかるもしらず、おもてもいとあかくて、おさへてゐたるこそ、をかしけれ。
八月ばかりに
八月ばかりに、白き単衣(ひとへ)なよらかなるに、袴よきほどにて、紫苑の衣の、いとあてやかなるをひきかけて、胸をいみじう病めば、友だちの女房など、かずかすきつつとぶらひ、外のかたにも、わかやかなる君達(きんだち)あまたきて、
「いといとほしきわざかな。例もかうやなやみ給ふ」
など、ことなしびにいふもあり。心かけたる人は、まことにいとほしと思ひなげきたるこそ、をかしけれ。
いとうるはしう長き髪をひき結ひて、ものつくとて、起きあがりたるけしきもらうたげなり。
上にもきこしめして、御読経の僧の、声よき給はせたれば、几帳ひきよせてすゑたり。ほどもなきせばさなれば、とぶらひ人あまたきて、経ききなどするもかくれなきに、目をくばりてよみゐたるこそ、罪や得らむとおぼゆれ。
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