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民会《ローマ》とは わかりやすい世界史用語1059
著作名: ピアソラ
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民会《ローマ》とは

ローマの民会は、古代ローマにおける市民の集まりで、立法、選挙、司法などの機能を果たしていました。この民会は直接民主制の形式を採り、一般市民が投票を通じて政治に参加する機会を提供しました。ローマにはいくつかの種類の民会が存在し、それぞれ異なる役割と権限を持っていました。

クリア民会

クリア民会は、ローマ王政時代に設立された最も古い民会で、主に宗教的および象徴的な機能を果たしました。30のクリア(氏族単位)で構成され、各クリアは一票を投じました。クリア民会の主要な役割は、王の選出や宗教儀式の承認でしたが、共和政の時代にはその権限が大幅に制限されました。

兵員会

兵員会は、ローマ軍の編成に基づいて組織された民会で、主に軍事および立法の役割を担っていました。市民は財産に基づいて百人隊に分けられ、各百人隊が一票を投じました。この民会の主な機能には、執政官(コンスル)やプラエトル(裁判官)の選出、戦争の宣言、法律の制定が含まれます。

トリブス民会

トリブス民会は、地理的な区分に基づいて構成される民会で、主に立法および選挙の役割を果たしました。ローマ市および周辺地域を35のトリブス(部族)に分け、各トリブスが一票を投じました。この民会の主な機能は、アエディリス(市政官)やクァエストル(財務官)の選出、法律の制定などです。

プレブス民会

プレブス民会は、プレブス(平民)のために設立された民会で、彼らの権利を守ることを目的としています。この民会はプレブスのトリブスに基づいて組織され、プレブスの利益を代表する法案(プレビシタ)を可決することができました。プレブス民会の主な役割には、護民官(トリブヌス)やプレブス・アエディリスの選出、プレブスのための法律の制定が含まれます。

民会の機能と権限

ローマの民会は以下のような機能と権限を持っていました:

立法権:民会は法律を制定する権限を有し、市民の投票によって法案が可決されました。
選挙権:民会は執政官、プラエトル、アエディリス、クァエストルなどの官職者を選出しました。
司法権:民会は重大な犯罪や国家に対する反逆罪などの裁判を行いました。
軍事権:百人隊民会は戦争の宣言や軍事指揮官の任命を行いました。

民会の運営と手続き

民会の運営は、召集者(通常は執政官や護民官)によって行われました。召集者は民会の開催場所と日時を決定し、議題を提示しました。市民は指定された場所に集まり、議論を行った後に投票を通じて決定を下しました。投票は通常、各単位(クリア、百人隊、トリブス)ごとに行われ、多数決で意見が採用されました。

民会の衰退と帝政の成立

ローマ帝国の成立とともに、民会の権限は徐々に減少しました。アウグストゥス(オクタウィアヌス)が初代皇帝として即位した後、民会の立法権や選挙権は元老院や皇帝に移行しました。帝政時代には、民会は形式的な存在となり、実質的な政治的影響力を失いました。

民会の遺産

ローマの民会の遺産は、現代の民主主義や議会制度に大きな影響を与えました。民会の直接民主制の形式は、市民が政治に参加する権利を強調し、後のヨーロッパの政治制度にも取り入れられました。

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