|
|
|
更新日時:
|
|
![]() |
民会《ローマ》とは わかりやすい世界史用語1059 |
著作名:
ピアソラ
273 views |
民会《ローマ》とは
ローマの民会は、古代ローマにおける市民の集まりで、立法、選挙、司法などの機能を果たしていました。この民会は直接民主制の形式を採り、一般市民が投票を通じて政治に参加する機会を提供しました。ローマにはいくつかの種類の民会が存在し、それぞれ異なる役割と権限を持っていました。
クリア民会
クリア民会は、ローマ王政時代に設立された最も古い民会で、主に宗教的および象徴的な機能を果たしました。30のクリア(氏族単位)で構成され、各クリアは一票を投じました。クリア民会の主要な役割は、王の選出や宗教儀式の承認でしたが、共和政の時代にはその権限が大幅に制限されました。
兵員会
兵員会は、ローマ軍の編成に基づいて組織された民会で、主に軍事および立法の役割を担っていました。市民は財産に基づいて百人隊に分けられ、各百人隊が一票を投じました。この民会の主な機能には、執政官(コンスル)やプラエトル(裁判官)の選出、戦争の宣言、法律の制定が含まれます。
トリブス民会
トリブス民会は、地理的な区分に基づいて構成される民会で、主に立法および選挙の役割を果たしました。ローマ市および周辺地域を35のトリブス(部族)に分け、各トリブスが一票を投じました。この民会の主な機能は、アエディリス(市政官)やクァエストル(財務官)の選出、法律の制定などです。
プレブス民会
プレブス民会は、プレブス(平民)のために設立された民会で、彼らの権利を守ることを目的としています。この民会はプレブスのトリブスに基づいて組織され、プレブスの利益を代表する法案(プレビシタ)を可決することができました。プレブス民会の主な役割には、護民官(トリブヌス)やプレブス・アエディリスの選出、プレブスのための法律の制定が含まれます。
民会の機能と権限
ローマの民会は以下のような機能と権限を持っていました:
立法権:民会は法律を制定する権限を有し、市民の投票によって法案が可決されました。
選挙権:民会は執政官、プラエトル、アエディリス、クァエストルなどの官職者を選出しました。
司法権:民会は重大な犯罪や国家に対する反逆罪などの裁判を行いました。
軍事権:百人隊民会は戦争の宣言や軍事指揮官の任命を行いました。
民会の運営と手続き
民会の運営は、召集者(通常は執政官や護民官)によって行われました。召集者は民会の開催場所と日時を決定し、議題を提示しました。市民は指定された場所に集まり、議論を行った後に投票を通じて決定を下しました。投票は通常、各単位(クリア、百人隊、トリブス)ごとに行われ、多数決で意見が採用されました。
民会の衰退と帝政の成立
ローマ帝国の成立とともに、民会の権限は徐々に減少しました。アウグストゥス(オクタウィアヌス)が初代皇帝として即位した後、民会の立法権や選挙権は元老院や皇帝に移行しました。帝政時代には、民会は形式的な存在となり、実質的な政治的影響力を失いました。
民会の遺産
ローマの民会の遺産は、現代の民主主義や議会制度に大きな影響を与えました。民会の直接民主制の形式は、市民が政治に参加する権利を強調し、後のヨーロッパの政治制度にも取り入れられました。
このテキストを評価してください。
役に立った
|
う~ん・・・
|
※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。 |
|
護民官とは わかりやすい世界史用語1058
>
平民会とは わかりやすい世界史用語1060
>
東ローマ帝国(ビザンツ帝国)とは わかりやすい世界史用語1131
>
シチリア島とは わかりやすい世界史用語1077
>
コンスル(執政官)とは わかりやすい世界史用語1054
>
元首政(プリンキパトゥス)とは わかりやすい世界史用語1108
>
ローマ帝国の主要な皇帝たち ~時代背景とその業績~
>
最近見たテキスト
民会《ローマ》とは わかりやすい世界史用語1059
10分前以内
|
>
|
注目テキスト
世界史
- 先史時代
- 先史時代
- 西アジア・地中海世界の形成
- 古代オリエント世界
- ギリシア世界
- ヘレニズム世界
- ローマ帝国
- キリスト教の成立と発展
- アジア・アメリカの古代文明
- イラン文明
- インドの古代文明
- 東南アジアの諸文明
- 中国の古典文明(殷・周の成立から秦・漢帝国)
- 古代の南北アメリカ文明
- 東アジア世界の形成と発展
- 北方民族の活動と中国の分裂(魏晋南北朝時代)
- 東アジア文化圏の形成(隋・唐帝国と諸地域)
- 東アジア諸地域の自立化(東アジア、契丹・女真、宋の興亡)
- 内陸アジア世界の形成
- 遊牧民とオアシス民の活動
- トルコ化とイスラーム化の進展
- モンゴル民族の発展
- イスラーム世界の形成と拡大
- イスラーム帝国の成立
- イスラーム世界の発展
- インド・東南アジア・アフリカのイスラーム化
- イスラーム文明の発展
- ヨーロッパ世界の形成と変動
- 西ヨーロッパ世界の成立
- 東ヨーロッパ世界の成立
- 西ヨーロッパ中世世界の変容
- 西ヨーロッパの中世文化
- 諸地域世界の交流
- 陸と海のネットワーク
- 海の道の発展
- アジア諸地域世界の繁栄と成熟
- 東アジア・東南アジア世界の動向(明朝と諸地域)
- 清代の中国と隣接諸地域(清朝と諸地域)
- トルコ・イラン世界の展開
- ムガル帝国の興隆と衰退
- ヨーロッパの拡大と大西洋世界
- 大航海時代
- ルネサンス
- 宗教改革
- 主権国家体制の成立
- 重商主義と啓蒙専制主義
- ヨーロッパ諸国の海外進出
- 17~18世紀のヨーロッパ文化
- ヨーロッパ・アメリカの変革と国民形成
- イギリス革命
- 産業革命
- アメリカ独立革命
- フランス革命
- ウィーン体制
- ヨーロッパの再編(クリミア戦争以後の対立と再編)
- アメリカ合衆国の発展
- 19世紀欧米の文化
- 世界市場の形成とアジア諸国
- ヨーロッパ諸国の植民地化の動き
- オスマン帝国
- 清朝
- ムガル帝国
- 東南アジアの植民地化
- 東アジアの対応
- 帝国主義と世界の変容
- 帝国主義と列強の展開
- 世界分割と列強対立
- アジア諸国の改革と民族運動(辛亥革命、インド、東南アジア、西アジアにおける民族運動)
- 二つの大戦と世界
- 第一次世界大戦とロシア革命
- ヴェルサイユ体制下の欧米諸国
- アジア・アフリカ民族主義の進展
- 世界恐慌とファシズム諸国の侵略
- 第二次世界大戦
- 米ソ冷戦と第三勢力
- 東西対立の始まりとアジア諸地域の自立
- 冷戦構造と日本・ヨーロッパの復興
- 第三世界の自立と危機
- 米・ソ両大国の動揺と国際経済の危機
- 冷戦の終結と地球社会の到来
- 冷戦の解消と世界の多極化
- 社会主義世界の解体と変容
- 第三世界の多元化と地域紛争
- 現代文明
- 国際対立と国際協調
- 国際対立と国際協調
- 科学技術の発達と現代文明
- 科学技術の発展と現代文明
- これからの世界と日本
- これからの世界と日本
- その他
- その他