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「ネパール」について調べてみよう
著作名: 早稲男
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ネパール

ネパール(英語ではNepal)は、南アジアに位置する連邦共和制国家です。

このテキストでは、ネパールの特徴を「国土」、「人口と人種」、「言語」、「主な産業」、「主な観光地」、「文化」、「スポーツ」、「日本との関係」の8つのカテゴリに分けて詳しく見ていき、同国の魅力や国際的な影響力について考えていきます。


1.国土

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ネパールは、東西約885km、南北約193kmの内陸国で、国土面積は約147,516平方キロメートルです。東、西、南をインドに、北を中華人民共和国チベット自治区に接しています。ヒマラヤ山脈の一部が北部に広がり、世界最高峰エベレスト(8,849メートル)を含む8つの8000メートル級の山々が位置しています。一方、南部のタライ平原の標高は70メートル程度で、農地に適した肥沃な土地に恵まれています。国の北部は高山気候、中央部の丘陵地帯は穏やかな気候、南部タライ平原は高温多湿の気候と、様々な地形や気候が特徴です。こうした地形は生物の多様性を育み、トラ、サイ、レッサーパンダ、スノーレオパードなどが生息しています。自然保護区と国立公園は約20か所に及び、ネパールの国土の23%が保護地域として指定されています。首都はカトマンズです。


2.人口と人種

2023年現在、ネパールの人口は約3,100万人です。民族構成は多様で、インド・アーリア系が人口の約60%、チベット・ビルマ系が約35%、その他少数民族が残りを占めます。主要な宗教はヒンドゥー教が約81%、次いで仏教、イスラム教などが続きます。


3.言語

公用語はネパール語で、全人口の44%が母語としていますが、国内には120以上の言語(マイティリ語、ボジプリ語、タマン語など)が存在すると言われています。民族ごとに異なる地域特有の言語が、国内の多文化共生を支えています。


4.主な産業

ネパールのGDPに占める農業の割合は約25%で、主要作物は米、小麦、トウモロコシです。また、ヒマラヤ観光や手工芸品産業も重要な収入源です。さらに、最近では水力発電が注目されています。ネパールは世界でも有数の水資源豊富な国であり、総発電可能量は83,000MWと推定されますが、現状ではその1%ほどしか活用されていません。これによりエネルギー輸出が期待される中、持続可能な開発への取り組みが進んでいます。


5.主な観光地

ネパールにはユネスコ世界遺産に登録されたスポットが数多くあります。
カトマンズ

首都カトマンズ渓谷には歴史的建造物が点在し、ヒンドゥー教と仏教の調和を示す建物が見られます。


世界の屋根

ネパール北部には8,000メートル級の山々がそびえ立ち、世界の屋根とも称されています。その中でもエベレスト登山の拠点となるソルクンブ地方、比較的容易に眺めることができるアンナプルナの山容などがトレッキングを好む観光客から人気です。

釈迦誕生の地

釈迦生誕地であるルンビニは、仏教徒にとって聖地であり、世界中の巡礼者を引き付けています。


6.文化

ネパール文化の中心には、ヒンドゥー教と仏教が深く根付いています。毎年10月には最大の祭り「ダサイン」が行われ、国中が祝祭ムードに包まれます。また、タマン族やシェルパ族をはじめとする少数民族の儀式や音楽も特徴的です。工芸品、特に木彫りや金属細工は、職人の技術が世界的に評価されています。


7.スポーツ

スポーツ分野ではクリケットとサッカーが最も盛んですが、ネパールは特に登山とトレッキングの聖地として知られています。エベレスト登頂やアンナプルナ周辺のトレイルは、世界中の冒険家にとってひとつのゴールとなっています。2022年には国内外で約80万人の観光客がネパールの山々を訪れました。


8.日本との関係

日本とネパールの経済協力は、1956年の外交関係樹立以来、持続的に進展しており、インフラ整備、教育、災害復興など、多岐にわたる分野で展開されています。以下、主要な協力事例とその影響について詳述します。

1. インフラ整備への支援

日本はネパールのインフラ整備において重要な役割を果たしています。特に道路や橋梁建設、灌漑システムの整備が挙げられます。

トリブバン国際空港の近代化

日本はカトマンズにあるトリブバン国際空港の改修工事に資金提供を行い、観光客や物流の円滑化を支援しました。

大規模道路プロジェクト

日本の政府開発援助(ODA)を通じ、主要道路網の整備が進められています。これにより、地方と都市部を結ぶ交通の利便性が向上しました。

2. 教育分野での協力

日本はネパールの教育分野にも多大な貢献を行っています。特に、技術者育成や学校施設の整備に注力しています。

学校建設と教材支援

日本はネパール全土で学校建設プロジェクトを実施しており、特に農村部の子どもたちが教育を受けやすい環境を整えています。

人的資源開発奨学金(JDS)

この奨学金プログラムは、ネパールの若手行政官や専門家が日本の大学で学び、帰国後に国の発展に貢献する機会を提供しています。

3. 災害復興支援

ネパールは地震や洪水といった自然災害が頻発する国であり、日本はその災害復興支援においても重要な役割を果たしています。近年では2015年ネパール地震への支援を行っています。この震災後、日本は医療物資や救援物資を提供するとともに、被災地の復興に向けた長期的なプロジェクトを実施しました。再建には、地震に強い建築技術や日本の災害対策ノウハウが活用されています。

4. 貿易と投資の促進

日本とネパールの貿易関係は比較的小規模ながら、着実に成長を続けています。

ネパールは日本に手工芸品や衣類を輸出しており、特に手織りの絨毯やパシュミナ製品が日本市場で高い評価を得ています。一方ネパールには日本企業がいくつか進出しており、主にエネルギーや建設分野で活動しています。日本の技術と資金が、ネパール経済の多様化と成長に貢献しています。

5. 人材育成と技能実習

近年、日本は技能実習制度を通じてネパール人労働者を受け入れており、建設、介護、農業などの分野で彼らが重要な役割を果たしています。2021年以降、技能実習生や特定技能労働者として日本に在留するネパール人は増加傾向にあります。帰国後、これらの技能がネパール国内の産業発展にも活用されています。

今後の展望

日本とネパールの経済協力は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指したパートナーシップをさらに強化する方向で進んでいます。特に、水力発電や再生可能エネルギー、観光インフラの整備は今後の主要分野として期待されています。また、両国の経済交流の促進により、貿易量と投資規模の拡大が見込まれます。


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