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「 王侯将相いずくんぞ種あらんや」とは わかりやすい世界史用語438
著作名: ピアソラ
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「王侯将相いずくんぞ種あらんや」とは

「王侯将相いずくんぞ種あらんや(王侯将相宁有种乎?)」という言葉は、中国の古典「史記」に登場する有名な言葉で、紀元前209年に起こった陳勝・呉広の乱の中で陳勝が発したものです。この言葉は、社会階層や生まれによる差別に対する反抗の意志を示しています。直訳すると、「王や公、将軍、相(高官)たちは、果たして生まれながらにしてそうなのだろうか?」という意味になります。これは、権力や地位が天賦の才能や貴族の特権ではなく、誰もが努力によって得ることができるという考えを表しています。

この言葉は、秦の厳しい法律と社会制度に苦しむ庶民の間で共感を呼び、多くの人々が陳勝の反乱に呼応しました。陳勝は、自らが農民出身でありながら、皇帝を目指すことができると主張し、彼のこの言葉は、身分制度を超えた平等の理念を象徴するものとなりました。



この言葉は、現代でも引用されることが多く、特に社会的な不平等や階級闘争に関連する文脈で使われます。また、個人の努力と実力を重んじる価値観として、使われる言葉です。

陳勝がこの言葉を発した背景には、当時の中国が経験していた社会的、政治的な動揺があります。秦の始皇帝の死後、秦朝は急速に衰退し始め、多くの反乱が各地で発生しました。陳勝と呉広は、そのような混乱の中で、自らが率いる兵士たちとともに反乱を起こし、秦朝に対抗しました。彼らの行動は、後の秦朝の崩壊と中国史上最初の帝国である漢の成立へと繋がる重要な出来事でした。

この歴史的な背景を理解することで、「王侯将相いずくんぞ種あらんや(王侯将相宁有种乎?)」という言葉の重みと、それが持つ歴史的な意義をより深く理解することができます。また、この言葉は、権力や地位が必ずしも遺伝や家柄によるものではなく、個人の努力や能力によっても獲得できるという、普遍的なメッセージを伝えています。

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