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性善説とは わかりやすい世界史用語343
著作名: ピアソラ
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性善説とは

孟子は、中国の春秋時代末期から戦国時代初期にかけて活躍した儒学者であり、彼の思想は後世に大きな影響を与えました。特に、人間の本性に関する彼の教えは、儒教の中でも重要な位置を占めています。孟子は、「性善説」と呼ばれる理論を提唱し、人間は生まれながらにして善なる性質を持っていると主張しました。

性善説の核心

孟子の性善説は、人間が持つ四つの端(たん)あるいは四端(しだん)と呼ばれる道徳的な感情に基づいています。これらは、仁(じん)、義(ぎ)、礼(れい)、智(ち)という四つの徳に対応しており、それぞれが人間の善良な行動を促す種子とされています。孟子は、これらの感情が自然と湧き上がるものであり、外部から教え込まれるものではないと説きました。

仁 - 他人の苦しみに対する共感や慈愛の感情
義 - 正義や恥の感情
礼 - 礼儀や遠慮の感情
智 - 正しいとか間違っているとかの判断を下す知恵
孟子は、例えば、井戸に落ちそうな子供を見たときに、誰もが即座に恐怖や不安を感じると述べています。この感情は、他人の親との関係を良くするためや、周囲の人々からの賞賛を得るために感じるものではなく、子供の叫び声が不快だから感じるものでもありません。このような反応は、人間が本能的に持っている仁の感情の「芽」であると孟子は説明しています。

性善説の意義

孟子の性善説は、人間が本質的に善であるという考え方です。これは、人間が道徳的な生活を送るための内在的な動機付けを持っていることを意味し、外部からの強制や教育だけが道徳性を形成するわけではないということを示唆しています。孟子は、人間の善なる本性を育て、発展させることが、個人の道徳的成長にとって重要であると強調しました。

また、孟子の性善説は、政治的な意味合いも持っています。彼は、君主や政治家もまた、人間の善なる本性を持っているため、正しい道徳的指導によって良い政治を行うことができると考えました。これは、政治的権力が人民を導くためには、道徳的な原則に基づくべきであるという考え方につながります。

孟子の性善説は、現代においても多くの議論を呼ぶテーマです。人間の本性が善であるという考え方は、教育や心理学、政治学など様々な分野で引き続き重要な役割を果たしています。特に、個人の内面的な成長や社会的な調和を重視する文化や思想において、孟子の教えは大きな影響力を持っています。

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