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イスラム文明の特徴 ~都市文明とスーク・マドラサ・モスク~ |
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著作名:
エンリケ航海王子
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イスラム教の布教とともにイスラム文明は各地で独自の発展を遂げていきました。
このテキストでは、イスラム文明がどのように成立・発展していったかを見ていきましょう。
イスラム教はその成立以降成、急速に勢力を拡大させ、いくつものイスラム国家が誕生しましたが、その多くは、過去繁栄を誇った古代文明の跡地に成立しました。
例えば、古代オリエントやヘレニズム、インドなど、優れた文明の影響を吸収できる環境にあったといえます。
イスラム文明および文化は、征服地の多様性から、次のように分類されることもあります。
トルコ系のセルジューク朝、モンゴル系のイル=ハン朝などの支配地域で盛んだった文化です。
イラン=イスラム文明がティムール朝によってトルコに伝わり形成されました。
デリー=スルタン朝以降のインドのイスラム国家、特にムガル帝国の時代に隆盛を極めました。
しかし、これらの多様性にもかかわらず、基本的にアラビア語やイスラム教を中心とした共通性を有しているのが、イスラム文明の特徴であると言えます。
イスラム文明は、さまざまな地域の文化の融合文明で、その根本は都市文明でした。
イスラム教の平等の精神とその普遍性から、公共施設が充実し、シャリーアという規則に従って人々が生活していました。
また、多くのイスラム商人が活躍し、アジアからヨーロッパに至る大通商路を抑え、それぞれの年を結ぶネットワークが築かれました。
イスラムの文明社会を1つずつみていきましょう。
モスクは、イスラム都市の中で最も重要な施設といってもいいでしょう。
イスラム教の重要な礼拝堂で、中には説教壇とメッカの方向を示す壁のくぼみがあります。
都市の一日は、モスクに付随するミナレット(尖塔)から礼拝の時間を告げることから始まりました。
モスクは市民の礼拝の場所だけでなく、交流の場としても重要な機能を果たしました。
スークとは、一般的にモスクに隣接した市場のことです。
生活必需品や日用品だけでなく、さまざまな嗜好品も並べられ、多くの市民が毎日利用していました。
近隣には貿易に従事する商人の為にキャラバンサライという宿泊施設がありました。商業で発展したイスラム国家を象徴する場所であると言えます。
マドラサは、ウラマーと言われるイスラムの学者を育てる機関で、『学院』と訳されます。11世紀以降に、各イスラム国家の都市に次々と設けられ、優れたイスラム学問を生み出す重要な役割を果たしました。
(サマルカンドのウルグ・ベク・マドラサ)
イスラム都市では、病院や日常生活のための公共施設充実していて、それらのほとんどは無償か低料金で利用できたとされています。
このように、イスラム文明は、イスラム教の平等・普遍性を元にして設計され、地域の異なるイスラム国家でも交流が盛んに行なわれました。それらの地域間の活発な交流によって、優れた思想や学問がイスラム世界で生まれるようになります。
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