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ローマの暦 ~暦の起源と呼び名のワケ~
著作名: エンリケ航海王子
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暦とは何か

暦というのは、日常生活における時間の流れを、年、月、週、日という区切りに当てはめたもののことです。

暦の発明は、その後の人類の歴史において、多大な影響を及ぼしました。

時の流れを具体的に表現できるようになったことで、人類の生活に区切りが生まれ、文明の発展に大きく寄与しました。

暦の始まり

暦の始まりは、古代エジプトで考えられたと言われています。

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古代エジプトでは、ナイル川の氾濫が定期的に起こり、これに法則性があるということに気づいた人々が、暦を開発しました。これを太陽暦といいます。

古代エジプトで発明された暦は、恒星シリウスの動きを天文学的に観察した結果導き出されたので、シリウス歴とも言います。

太陽暦は、一年を365日と定義し、4年に一度、そのずれを解消するために閏年を設けました。

現在でも広く用いられている暦の原型となりました。

ローマの暦

古代エジプトの時代から時を経て、エジプトを征服したのがローマでした。

ローマでは、それまで一年を355日とする太陰暦が用いられていて、一年ごとにずれを調整するのが困難でした。

また、征服地が拡大するにつれて、各地域ごとに独自の暦が用いられており、ローマ全土の統治のために、共通する暦が必要になりました。

この状況に対し、ローマの指導者ユリウス=カエサルは、アレキサンドリアの暦学者ソシゲネスに命じ、エジプトの太陽暦を改良したユリウス暦を新しく作らせます。

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(カエサル胸像)

ローマの一年は3月から始まり、またカエサルは自分の誕生月の7月を自らの名前にちなんでユリウス(英語でJuly)に変えさせました。

また、その後ローマ帝国初代皇帝になったオクタヴィアヌスは、自らに冠せられたアウグストゥス(尊厳者)という称号を8月の名称に当てはめます。

月名意味以前の月順ユリウス暦
マルチウスマルス神1月3月(March)
アプリリスアフロディテ神2月4月(April)
マイウスマイア神3月5月(May)
ユニウスユノー神4月6月(June)
クインチリウス→ユリウス第5の5月7月(July)
セクスチリウス→アウグストゥス第6の6月8月(August)
セプテンベル第7の7月9月(September)
オクトベル第8の8月10月(October)
ノヴェンベル第9の9月11月(November)
デケンベル第10の10月12月(December)
ヤヌアリウスヤヌス神11月1月(January)
フェブルアリウスフェブルウス神12月2月(February)


このように、外国語の月の呼び名は、皇帝の呼び名に置き換えられたため、本来の意味とずれが生じたのです。

その後、ユリウス暦は1000年に8日の誤差が出ることがわかり、これを中世ヨーロッパのローマ教皇グレゴリウス13世が改良し、現在でも使われるグレゴリオ暦となりました。

2019年更新

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