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陶潜『飲酒』現代語訳(口語訳)・書き下し文と解説 |
著作名:
走るメロス
107,207 views |
『飲酒』原文・書き出し・現代語訳と解説
このテキストでは、「陶淵明集」の一節『飲酒』の原文、書き下し文、わかりやすい現代語訳(口語訳)とその解説を記しています。この詩は、「飲酒」の題で詠まれた詩の1つです。
白文(原文)
※左から右に読んでください。
結 廬 在 人 境
而 無 車 馬 喧
問 君 何 能 爾
心 遠 地 自 偏
採 菊 東 籬 下
悠 然 見 南 山
山 気 日 夕 佳
飛 鳥 相 与 還
此 中 有 真 意
欲 弁 已 忘 言
書き下し文
廬を結びて人境に在り
而も車馬の喧しき無し
君に問ふ何ぞ能く爾ると
心遠ければ地自ら偏なり
菊を採る東籬の下
悠然として南山を見る
山気日夕に佳く
飛鳥相与に還る
此の中に真意有り
弁ぜんと欲して已に言を忘る
現代語訳(口語訳)
隠遁して質素な庵を人里にかまえておりますが
車馬の音が騒々しいということはありません。
「どうしてそんなこと(静かに暮らすこと)ができるのか」(と聞かれたら)
「心が(世俗から)遠くはなれているので、住む土地も辺鄙なところとなる」(と答えます)。
菊を東のまがきで採り、
心をゆったりとして南山を眺めるのです。
山の様子は夕暮れ時がすばらしく、
飛ぶ鳥たちが一緒に(巣に)帰っていきます。
この(風景の)中にこそ真実があるのですが、
(それを)述べようとしても、とっくに言葉を忘れてしまいました。
解説
■句形と押韻
この漢詩は、「五言古詩」という形式の詩です。「五言詩」と「古体詩」が組み合わさったものです。
■五言詩
五つに並んだ漢字からなる詩を「五言詩」と言います。
■古体詩
古体詩とは、ざっくりと言えば「五言絶句、五言律詩、七言絶句、七言律詩」以外の詩を指すと考えてください。
■押韻
この漢詩では、次の語が押韻となります。
「喧」、「偏」、「山」、「還」、「言」
単語
廬 | 質素な小屋 |
人境 | 人里 |
問君 | 「君」は「他人」ではなく「作者」を指している |
爾 | 「そのようなこと」と訳しているが、この語が指すのは「静かに暮らすこと」である |
籬 | 竹や柴などで、目を粗く編んで作った垣のこと。東にあるので「東籬」 |
悠然 | 悠然としているのは①作者の心、②南山の姿のどちらともとれるが、ここでは①で訳している |
著者情報:走るメロスはこんな人
学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。
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