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明の盛衰と諸地域(洪武帝、永楽帝、鄭和の遠征、朝貢貿易など) 受験対策問題 51 |
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著作名:
レキシントン
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※赤字部分が問題に出そうな部分です。赤色の暗記シートなどで隠して見てください。
・フビライ=ハンが建国した元は、14世紀になると贅沢な宮廷生活やチベット仏教(ラマ教)への傾倒で国家財政が破綻し、この対策として交鈔を乱発した。国家の紙幣が乱発されたことにより、中国全土で物価の高騰がおこり、民衆の生活が圧迫された。
・困窮した民衆は各地で反乱を起こし、白蓮教徒が主体となった紅巾の乱(白蓮教徒の乱)が起きた。反乱軍の武将だった朱元璋は、1368年に金陵(のちの南京)を占領後即位し、洪武帝(在位1368〜1398)となり明(1368~1644)を建国した。洪武帝は元をモンゴル高原へ退け、中国を統一し、様々な政策を行った。
・洪武帝が行った政策は多岐にわたり、一世一元の制、中書省の廃止、六部を皇帝直属にした。また、明律(大明律)・明令(大明令)の公布、衛所制の制定、五軍都護府・都察院の設置など、皇帝権力の強大化を目指した。
・明代には、里甲制により農村が管理され、里老人という役職が秩序を維持した。また、賦役黄冊という戸籍簿・租税台帳が作られ、土地台帳として魚鱗図冊が整備された。
・洪武帝は、1397年に六諭という教訓を発布し、権力や秩序に従順な民衆を作ることを目指した。六諭はのちに明治期に制定された日本の教育勅語にも影響を与えた。
・第2代皇帝建文帝(恵帝)は、一族や有力者の土地没収を強行し、靖難の変(1399〜1402)を招いた。靖難の変では、朱元璋の第4子の燕王朱棣が反乱を起こし帝位を奪い、永楽帝(世祖:在位1402〜1424)として即位した。
・永楽帝は即位後、北平を都とし北京と改称し、政治の最高機関として1402年に内閣を設置した。内閣では、内閣大学士が事実上の宰相となり、政治を行った。また、対外的には、モンゴル遠征を5回にわたって行ったが、最後の遠征後永楽帝が病死し、終結した。
・靖難の変で功績をあげたイスラーム教徒の宦官鄭和は、永楽帝に南海諸国の遠征を命じられた。遠征は1405年から1433年まで7回(最後の7回目は宣徳帝の命)行われ、宝船を中心とする大船団を率いた鄭和は、東南アジア・インド南岸・西アジア・メッカ・アフリカ東岸のマリンディにいたる大遠征を実行した。
・明の時代、倭寇対策として海禁が行われた。また、この時代中国が朝貢国と行う朝貢貿易が主流となり、中国が周辺諸国と形式上の君臣関係を結ぶ冊封体制という国際秩序が成立した。
・明の時代に、外的として明を苦しめた北方のオイラト・タタールといった遊牧民と、中国沿岸部を荒らした倭寇の侵入を北虜南倭という。
・明によりモンゴル高原に退いた勢力を北元といい、洪武帝の攻撃で衰退した。また元の滅亡後のモンゴル系部族を韃靼(タタール)といい、同じモンゴル系のオイラトもエセン=ハンにより統一され強大化した。なお、このロシアやヨーロッパの脅威となったタタール人とは別民族である。
・明朝第6皇帝の正統帝は、1449年の土木の変でオイラトの捕虜となった。その後送還され復位し、第8代天順帝となる。
・韃靼(タタール)はアルタン=ハンの時代に強大となり、明に侵入し、1550年には北京を包囲し庚戌の変をおこした。その後明に従うようになり、1571年に順義王に封ぜられた。アルタン=ハンは西方でオイラトをうち、チベット仏教(黄帽派)をモンゴルに広めた。
・倭寇は、はじめ日本人による海賊・商人集団だったが、後期の倭寇はおもに中国人の海賊が主要な構成員であった。後期倭寇を代表する中国系海賊の首領が王直で、日本の松浦を拠点に中国本土を攻撃した。
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