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「ベラルーシ共和国」について調べてみよう
著作名: 早稲男
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ベラルーシ共和国

ベラルーシ共和国(以下「ベラルーシ」、英語ではRepublic of Belarus)は、東ヨーロッパに位置する共和制国家です。

このテキストでは、ベラルーシの特徴を「国土」、「人口と人種」、「言語」、「主な産業」、「主な観光地」、「文化」、「スポーツ」、「日本との関係」の8つのカテゴリに分けて詳しく見ていき、同国の魅力や国際的な影響力について考えていきます。


国土

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ベラルーシ共和国は、東ヨーロッパに位置する内陸国です。国土面積は207,600平方キロメートル(2024年)で、日本の本州とほぼ同じくらいの大きさです。北と東はロシア、南はウクライナ、西はポーランド、北西はリトアニアとラトビアと国境を接しています。

地形は主に平坦で、森林や湖、湿地が広範囲を占めています。特に、南部のポレシエ地方にはヨーロッパ最大級の湿地帯があり、独自の生態系を形成しています。また、国土の約4割が森林に覆われており、ヨーロッパ最後の原生林とも呼ばれるベロヴェーシュの森の一部がポーランドとの国境にまたがっています。

主要な河川としては、ドニプロ川、ネマン川、西ドヴィナ川などがあり、これらはバルト海や黒海へと流れています。首都のミンスクは、国土の中央部に位置しています。

人口と人種

ベラルーシの人口は9,498,300人(2024年推計)です。民族構成は、ベラルーシ人が84.9%と最も多く、次いでロシア人が7.5%、ポーランド人が3.1%、ウクライナ人が1.7%、ユダヤ人、アルメニア人、タタール人などが2.8%(2019年推計)となっています。ベラルーシ人のアイデンティティは、東スラブ民族に属し、独自の言語、文化、歴史を持っています。


言語

ベラルーシでは、ベラルーシ語とロシア語の2つが公用語として定められています。ベラルーシ語は、インド・ヨーロッパ語族のスラヴ語派に属し、ロシア語やウクライナ語と類似点が多いです。しかし、ソ連時代の影響から、現在でもロシア語を日常的に使用する人が多数を占めています。特に都市部ではこの傾向が顕著です。ベラルーシ語を母語とする人口は、2009年の国勢調査によると約23.4%ですが、日常的に話す人口はさらに少ないとされています。それでも、ベラルーシ語の保護と復興に向けた取り組みは継続されています。


主な産業

ベラルーシの経済は、工業と農業が中心です。

工業

工業分野では、旧ソ連時代から発達した重工業が主要な位置を占めています。主な生産品は、トラックやトラクターなどの機械類、化学肥料、石油精製製品などです。特に、世界的に有名な大型ダンプトラックメーカーであるBELAZは、同国の主要な輸出企業の一つです。

農業

農業分野では、国土の肥沃な土壌と広大な平原を活かし、ジャガイモ、穀物、フラックス(亜麻)などの生産が盛んです。ジャガイモは国民の食生活に不可欠な作物であり、「第二のパン」とも称されています。

サービス業

サービス業も成長しており、特にIT分野は近年急速な発展を遂げ、ソフトウェア開発や情報技術サービスが輸出収入の重要な柱となっています。


主な観光地

ベラルーシには、歴史的な城や自然の景観など、様々な観光地があります。

ミール城

16世紀から20世紀にかけて建設された歴史的な城で、ゴシック、バロック、ルネサンス様式が融合したユニークな建築様式を持っています。ユネスコの世界遺産にも登録されています。

ニャスヴィシュ城

16世紀から18世紀にかけてラジヴィウ家によって築かれた城と公園の複合体で、ベラルーシにおける最も重要な建築物の一つです。こちらもユネスコの世界遺産に登録されています。

ベロヴェーシュの森

ヨーロッパ最後の原生林の一部で、ポーランドとの国境にまたがっています。ヨーロッパバイソンをはじめ、多くの希少な動植物が生息する生物圏保護区であり、ユネスコ世界遺産にも登録されています。

ハティニ

第二次世界大戦中にナチス・ドイツによって村全体が焼き払われ、住民が虐殺された悲劇の場所です。現在は慰霊碑が建立され、戦争の記憶を伝える場所となっています。

ブレスツキー要塞

ポーランドとの国境に近いブレスト市にある要塞で、第二次世界大戦の独ソ戦の際に激しい攻防戦が繰り広げられた場所として知られています。ソ連時代の英雄的な防衛の象徴となっています。


文化

ベラルーシの文化は、東スラブ文化を基盤とし、隣接するポーランド、リトアニア、ロシアなどの文化の影響を受けて形成されました。

文学

19世紀の詩人ヤンカ・クパラやヤクブ・コラスが国民文学の礎を築きました。ソ連時代には、社会主義リアリズムが主流でしたが、独立後は多様な表現が見られるようになりました。

音楽

民族音楽は、アコーディオンの一種であるツィンバルムや、バヤン(ロシア式アコーディオン)などの楽器を用いたものが特徴です。近代音楽では、ユーロビジョン・ソング・コンテストへの参加など、国際的な活動も行われています。

美術

マルク・シャガールやカジミール・マレーヴィチといった、世界的に著名な画家を輩出しています。彼らの作品は、キュビズムやシュプレマティズムといった20世紀の芸術運動に大きな影響を与えました。

伝統

ドゥジニキ(小麦粉のパンケーキ)や、マチャーンカ(肉料理)といった伝統的な料理があります。また、スラヴィヤンスキー・バザール(スラブ芸術祭)は、東スラブ文化の交流の場として知られています。


スポーツ

ベラルーシでは、アイスホッケー、サッカー、テニスなどが盛んです。

アイスホッケー

冬のスポーツとして人気が高く、男子代表チームは国際大会で好成績を収めています。国内リーグも盛んで、多くの若手選手が活躍しています。

テニス

ヴィクトリア・アザレンカ選手やアリナ・サバレンカ選手など、世界的なトッププレイヤーを輩出しています。特に、グランドスラムのシングルスで優勝した選手もおり、国際的な知名度を上げています。

サッカー

サッカーは国民的な人気スポーツの一つで、国内リーグのトップチームは欧州の大会にも参加しています。

オリンピック

夏季、冬季ともに、陸上競技、体操、カヌー、スキーなどでメダルを獲得しており、特にカヌーは強豪国の一つとして知られています。

日本との関係

日本とベラルーシは、1992年の国交樹立以来、様々な分野で関係を築いています。

経済

日本からベラルーシへの主な輸出品は自動車や機械類で、ベラルーシからは主に農業生産品や木材などが輸入されています。2016年には、日・ベラルーシ租税条約が発効し、二国間の経済関係のさらなる発展が期待されています。

文化

日本国内でベラルーシの文化を紹介するイベントが開催されるなど、文化交流も行われています。また、ベラルーシ国内でも日本文化への関心が高まっており、日本語学習者も増加傾向にあります。

人道支援

1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故で大きな被害を受けたベラルーシに対し、日本は医療分野を中心に様々な人道支援を行ってきました。この支援は、両国間の友好関係を深める上で重要な役割を果たしています。


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