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『使徒行伝』とは わかりやすい世界史用語1195
著作名: ピアソラ
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『使徒行伝』とは

『使徒行伝』とは、新約聖書において、イエス・キリストの昇天後の使徒たちの活動と初期キリスト教会の発展を記録した書物です。この書物は、ルカの福音書と合わせてルカによって書かれたとされ、キリスト教の歴史と神学において重要な役割を果たしています。

使徒行伝の構成

使徒行伝は、新約聖書の5番目の書であり、全28章から成り立っています。この書物は、イエス・キリストの昇天から始まり、その後の使徒たち、特にペテロとパウロの伝道活動を中心に描かれています。内容は大きく2つの部分に分かれます:

ペテロの活動(1章〜12章)
この部分では、ペテロを中心とした使徒たちの活動が記されています。特に、聖霊降臨の出来事や、ペテロによる説教、奇跡、初期キリスト教会の拡大が描かれています。

パウロの活動(13章〜28章)
パウロの伝道旅行が主題となる部分で、彼の異邦人への伝道活動や教会設立が記録されています。彼の旅路や説教、最終的にはローマでの投獄の様子も描かれています。



使徒行伝の歴史

使徒行伝は、紀元80年から90年ごろに書かれたとされていますが、学者の中には110年から120年ごろの執筆を提唱する声もあります。この書物はルカの福音書とともに一つの作品とされ、しばしば「ルカ-使徒行伝」という二部作として扱われます。ルカは、パウロの同行者であり、医者であったとされています。

使徒行伝の内容

使徒行伝の主な内容は、イエス・キリストの昇天後、使徒たちがどのように活動し、初期のキリスト教会がどのように成長していったかに焦点を当てています。主要な内容は以下の通りです:

イエスの昇天と聖霊降臨
使徒行伝は、イエス・キリストが弟子たちに聖霊が降ることを予告した後、昇天する場面から始まります。その後、聖霊降臨の日に、弟子たちが聖霊に満たされ、異なる言語で話し始める奇跡が起こります。これがキリスト教誕生の瞬間とされ、ペンテコステ(五旬節)として祝われています。

ペテロの活動
ペテロは、聖霊降臨後、エルサレムで説教を行い、多くの人々がキリスト教に改宗しました。彼は奇跡を行い、病人を癒すなど、初期教会の成長に大きく貢献しました。ペテロの伝道活動はサマリア、リダ、ヨッパなどでも行われ、多くの信者を獲得しました。

パウロの回心と伝道活動
パウロの回心とその後の伝道活動は、使徒行伝において特に重要な部分です。パウロはかつてキリスト教徒を迫害していましたが、ダマスコへの道で神からの啓示を受け、回心します。この出来事によって彼はキリスト教徒となり、名前もサウロからパウロに改められました。以降、彼は異邦人への伝道を行い、多くの教会を設立します。彼の伝道旅行はアジア、ギリシャ、ローマと広範囲にわたり、多くの人々に福音を伝えました。

使徒行伝の宗教的意義

使徒行伝は、キリスト教の歴史と神学において重要な意義を持っています。この書物は、初期キリスト教会の成長過程と、それに関わる使徒たちの活動を記録し、信者にとって信仰の模範となる人物像を描いています。特に聖霊の働きと神の導きが強調され、信者が神の計画に従って生きる重要性を教えています。

また、使徒行伝はキリスト教がユダヤ教の枠を超えて、普遍的な宗教へと成長していく過程を示しています。パウロの異邦人伝道活動は、キリスト教が全ての人々に開かれた宗教であることを強調しており、この普遍性はキリスト教の発展と拡大に大きな影響を与えました。

使徒行伝は、新約聖書において、イエス・キリストの昇天後の使徒たちの活動と初期キリスト教会の発展を記録した書物です。この書物は、特にペテロとパウロの活動を中心に、初期キリスト教会の成長過程を描き、信者にとって重要な宗教的意義を持っています。

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