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アジャンター石窟寺院とは わかりやすい世界史用語817
著作名: ピアソラ
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アジャンター石窟寺院とは

アジャンター石窟寺院は、インドのマハーラーシュトラ州アウランガーバード地区に位置する、30の仏教石窟からなる古代の遺跡です。これらの石窟は、紀元前2世紀から紀元後480年頃にかけて、二つの主要な時期にわたって建設されました。アジャンター石窟は、1983年にユネスコの世界遺産に登録されており、その美術的価値と歴史的意義から、世界中の観光客や学者にとって重要な訪問地となっています。

歴史と建設の背景

アジャンター石窟の建設は、主に二つの時期に分けられます。最初の時期は、紀元前2世紀から紀元後2世紀にかけてのサータヴァーハナ朝の時代であり、この時期には主に簡素なヴィハーラ(僧院)とチャイティヤ(礼拝堂)が掘られました。第二の時期は、紀元後5世紀から6世紀にかけてのヴァーカータカ朝の時代であり、この時期にはより装飾的で大規模な石窟が建設されました。



石窟の構造と特徴

アジャンター石窟は、ワゴーラー川沿いの断崖を掘り抜いて作られており、全長約550メートルにわたって広がっています。石窟は、ヴィハーラ窟とチャイティヤ窟の二種類に大別されます。ヴィハーラ窟は、僧侶たちの居住空間として設計されており、中央に中庭を持ち、その周囲に僧房が配置されています。一方、チャイティヤ窟は、仏塔を安置する礼拝堂として設計されており、高い天井と馬蹄形の平面を特徴としています。

芸術的価値と壁画

アジャンター石窟の最大の魅力は、その美しい壁画と彫刻にあります。特に第1窟、第2窟、第16窟、第17窟の壁画は、古代インドの宗教美術の最高峰とされています。これらの壁画は、仏陀の前世の物語(ジャータカ)や仏教説話を描いており、その表現力豊かな描写は、訪れる人々を魅了します。

発見と保存の歴史

アジャンター石窟は、1819年にイギリスの士官ジョン・スミスによって再発見されました。その後、石窟の保存と修復が進められ、現在ではインド考古調査局によって管理されています。石窟の保存状態は良好であり、多くの壁画や彫刻が当時のままの姿を保っています。

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