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古文単語「こまやかなり/細やかなり/濃やかなり」の意味・解説【形容動詞ナリ活用】
著作名: 走るメロス
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こまやかなり/細やかなり/濃やかなり

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形容動詞・ナリ活用

未然形こまやかなら
連用形こまやかなりこまやかに
終止形こまやかなり
連体形こまやかなる
已然形こまやかなれ
命令形こまやかなれ


意味1

こまごまとした様、小さい様子

[出典]:初音 源氏物語
「御しつらひあるべきかぎりなれども、こまやかなる御調度は、いとしも調へたまはぬを」

[訳]:お部屋の設備も必要な物だけはありますが、こまごまとしたお道具類は、大してお揃えにはなっていらっしゃらないですが...


意味2

詳しい、細々したところまで行き届いている、精密である

[出典]悲田院の尭蓮上人は 徒然草
「...とことわられ侍りしこそ、この聖、声うちゆがみ、荒荒しくて、聖教の細やかなる理いとわきまへずもやと思ひしに...」

[訳]:...と事情を説明されたので(訪ねてきた人は、堯蓮上人のことを)、(東国出身の)この僧は、発音がなまり、(言い方も)粗野で、仏教の細かな道理はたいして心得ていないのではと思っていたのですが...


意味3

親密である、愛情が深い、丁寧である

[出典]:桐壺 源氏物語
「『今はなほ、昔の形見になずらへてものしたまへ。』など、こまやかに書かせたまへり。」

[訳]:「今はやはり、(私をなくなった桐壷の更衣の)形見と同じようなものとお思いください。』などと、丁寧にお書きになっています。


意味4

色が濃い

[出典]須磨の秋 源氏物語
「白き綾のなよよかなる、 紫苑色など奉りて、こまやかなる御直衣、帯しどけなくうち乱れ給へる御さまにて...」

[訳]:白い綾織物の柔らかいもの(の上)に、紫苑色のものをお召しになって、色が濃い御直衣に、帯も無造作にくつろぎなさったお姿で...


意味5

繊細で上品である、きめ細かく潤いがある

[出典]:総角 源氏物語
こまやかなるにほひなど、うちとけて見まほしく...」

[訳]繊細で上品な美しさなどを、くつろいで見ていたいと...


意味6

にこやかな様

[出典]:胡蝶 源氏物語
「御文を御覧じつけて、こまやかに笑ひたまふ。」

[訳]:お手紙を見つけになられて、にこやかにお笑いになります。


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