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元の盛衰と諸地域との交流(フビライ、マルコ=ポーロ、元寇、高麗など) 受験対策問題 32 |
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著作名:
レキシントン
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※赤字部分が問題に出そうな部分です。赤色の暗記シートなどで隠して見てください。
・チンギス=ハンの末子トゥルイの子であるフビライ=ハン(1260~1294)は、1260年にハンに即位しモンゴル帝国第5代皇帝となり、その後1264年に大都(現在の北京)に遷都し、1271年に国号を元(1271~1368)とした。
・1279年に南宋を滅ぼした元は、中国を統一し、モンゴル人を優遇したモンゴル人第一主義を統治原則とした。モンゴル人を第一とし、色目人(中央アジア・西アジア出身者)、漢人(旧金支配下の淮河以北の漢人・契丹人・女真人・高麗人・渤海人など)、南人(旧南宋支配下の江南住民)の序列が厳しく決められた。
・歴代の中国王朝の官吏登用試験だった科挙は、当初モンゴル人第一主義により漢人の士大夫が冷遇され当初中止となったが、のちの第4代仁宗の時代の1313年に復活した。郷試・会試・殿試の3つの試験が行われ、モンゴル人や色目人は優遇された。
・元代には、チンギス=ハンが創設したモンゴルのジャムチが駅伝制として整備され、交通の際には牌符という証明書が必要となった。また、金・元の時代には交鈔という紙幣が銀とともに流通し、以下の各都市が交易により発展した。
杭州 | 南宋や元の時代に発展した港町。キンザイの名でマルコ=ポーロがヨーロッパに紹介した。 |
明州 | 唐・元の時代に発展し、日本との貿易港となった。現在の寧波。 |
福州 | 福建省の中心都市で、唐代から港町として発展した。 |
泉州 | 唐・宋・元の時代に発展した福建省の港町。マルコ=ポーロがザイトンと呼び、当時の世界一の貿易港となった。 |
広州 | 唐・宋・元の時代に発展した珠江の港町。マルコ=ポーロがカンフーと呼んだ。 |
・元代には様々な地域との交流がおこり、発展していったが、最終的に白蓮教の信者が中心となり紅巾(白蓮教徒)の乱(1351~1366)がおこり、指導者朱元璋が大都を占領後元朝の勢力をモンゴル高原まで退け、新たに明を建国した。
・モンゴル帝国の成立と発展によって、13~14世紀のユーラシア大陸は「タタール(モンゴル人)の平和」という平和な時代となった。元と4ハン国は広大な地域を支配し、互いに交易を行ったため、ヨーロッパの使節が中国を訪問し、様々な形で東西交流が進んだ。以下はこの時代の著名な宣教師や旅行家である。
イタリア出身のフランチェスコ修道会の修道士。教皇インノケンティウス4世により、1245年にモンゴルの偵察と布教を兼ねて派遣された。カラコルムでグユク=ハンに教皇からの親書を渡したのち、1247年に帰国した。
フランス出身のフランチェスコ派修道士。フランス王ルイ9世により、1253年に派遣された。イスラーム勢力に対抗する十字軍への協力と布教が目的であった。1254年にカラコルムでモンケ=ハンに謁見したのち、翌年帰国した。帰国後貴重な旅行記を残した。
イタリア出身のフランチェスコ派修道士。使節としてイル=ハン国経由で大都に1294年到着した。大都で大司教を任され、中国初のカトリック布教者となった。
イタリア出身のフランチェスコ派修道士。使節として1342年に大都に到着した。4年間滞在し、その後帰国した。
イスラームの旅行家。1325年出発し、西アジア・中央アジア・インド・スマトラ・元を巡り、1349年に帰国した。旅行記『三大陸周遊記』を口述した。
イタリアのヴェネツィア出身の商人・旅行家。1275年に大都に到着し、その後17年間フビライ=ハンに仕えた。その後1290年に泉州を発ち、海路でイル=ハン国を経由し1295年帰国した。1296年にジェノヴァで捕らえられ、獄中で『世界の記述(東方見聞録)』を口述した。
・モンゴル帝国時代、チンギス=ハンがウイグル文字をベースとしたモンゴル文字を作らせた。その後、フビライ=ハンの時代になると、チベット文字をもとにしたパスパ文字が使用されるようになった。また、この文字を作ったパスパはチベット仏教(ラマ教)の法王であり、フビライがパスパを国師として迎えたため、元朝ではチベット仏教が盛んになった。
・新しい発明として、郭守敬の作った暦の授時暦(江戸時代に貞享暦がこれをもとに作られた。)や、投石機の回回砲、染付という陶磁器などが生まれた。
・宋代からはじまり、元代にかけて元曲(雑劇)という古典演劇が盛んになった。大都を中心に生まれた作品を北曲、江南におこったものを南曲という。代表的なものに、『西廂記』『漢宮秋』『琵琶記』などがある。
・元代には『水滸伝』『西遊記』『三国志演義』など著名な小説も生まれた。『水滸伝』『三国志演義』は羅貫中が大成し、明の時代に刊行したとされる。
・他にも著名な文人として、書家・画家として活躍した趙孟頫、文人画家の黄公望・倪瓚・呉鎮・王蒙などが活躍した。こうした中国の画彩はイル=ハン国を経由しイスラーム世界へ伝わり、ミニアチュールという細密画が生まれた。
陳朝(1225~1400)は、李朝のあとに建国されたベトナムの王朝で、漢字を元にした字喃(チュノム)という文字を使用した。13世紀にモンゴル軍の侵攻を三回撃退したが、豪族の反乱で滅びた。この時代に『大越史記』という歴史書が書かれた。陳朝の後は、胡朝が開かれた。
スコータイ朝(1257~15世紀)は、クメール人のアンコール朝から、タイ人が自立して建国した国家。都スコータイを中心に栄え、ラームカムヘーン王の時に最盛期を迎え、上座部仏教を信仰し、クメール文字をもとにしたタイ文字がつくられた。のちにアユタヤ朝に従属した。
アユタヤ朝(1351~1767)はクメール人のアンコール朝を破り、同族のスコータイ朝を併合した。この王朝は交易で栄えた港市国家で、17世紀にタイ史上最大領土となった。のちにトゥングー朝の侵入で衰え、コンバウン朝に滅ぼされた。
パガン朝(1044~1287)は、ミャンマー(ビルマ)初の統一国家だったが、のちに元の攻撃を受け、滅亡した。
シンガサリ朝(1222~1292)は、ジャワのクディリ朝滅亡後に建国されたが、元の世祖(フビライ=ハン)の使者を追い返したことで、元のジャワ遠征を招いた。
マジャパヒト王国(1293~1520頃)は、ジャワ島東部のヒンドゥー教国家。インド系文化を受容し、繁栄したが、1520年頃にイスラーム勢力に滅ぼされた。
高麗(918~1392)は新羅滅亡後に朝鮮を統一した国家。13世紀にモンゴル帝国の属国となり、元軍とともに日本を攻撃する元寇の拠点となった。崔氏という武人政権や、三別抄という軍人組織が元に抵抗した。最終的に李成桂によって滅ぼされた。
鎌倉幕府(1185~1333)は第8代の北条時宗の時代にモンゴル・高麗軍による元寇を二度受けたが、これを阻止した。鎌倉時代には、鎌倉文化やさまざまな仏教宗派が生まれた。南宋から栄西が臨済宗、道元が曹洞宗という禅宗を伝え、法然が浄土宗、親鸞が浄土真宗、日蓮が日蓮宗を開いた。
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